その名も『BadBox(バッド・ボックス)』なる建築士専用のインタラクティブ・ソルーションが登場した。名前もユニークなこのツール、建築案から設計図、そして完成予想図製作までをスムーズにトータルで行ってくれる、建築士にとって力強い味方である。
インタラクティブというと、PCやタブレットに映し出された画像を見て確認しながら、ユーザー間で対話を行い、お互いの希望事項や提案などを入力して処理するスタイルが基本だが、『Badbox』はひと味違うのがウリだ。

クライアントの目を引くユニークさ
まず、木製のブリーフケースという外観が目を引く。中を開ければ、ビル(建築物)の小型モデル(モジュール)、ミニタブレット、そして建築関連の各種データが収納されている。使い方も簡単だ。建築士とクライアント各々のタブレットに、まず設計図が映し出されるので、ビルの小型モデルをそれにすり合わせながら、双方で綿密な話し合いを行い、設計図を徐々に完成させていくのだ。建築家とクライアントが、設計図や建築予想図(デジタルコンテンツ)と、ビルのモデル(物理的コンテンツ)をリアルタイムで同時に操作しあいつつ、完成させていくというわけだ。

『Badbox』を使えば、以下のようなことが可能になる。
1.建物の外観や内部のデザインを、モデルを使いながらタブレットで確認しつつ、クライアントの意見や希望を最大限に生かした設計図を制作することができる。
2.Google マップや、道路交通情報のライブ画像などを併用すれば、建設予定地周辺の自動車騒音がどのくらいか予想ができる。
3.太陽光がどのように、そしてどのくらい建物に差し込むかがデータで算出できる。(ソーラーパネルの設置を予測した場合、どのくらいの効果が上がるかが推測できる)
4.建物外部のみならず、内部(フローリングやドア、窓枠など)の細部にわたる設計が可能。

設計図がリアルに
また、『Badbox』には、独自に開発したデータベースに基づくデバイスが搭載されている。たとえばそのひとつがAR(拡張現実)機能だ。前述の建物モデルを、タブレットのカメラで撮影して映し出し、位置情報やCGを重ね合わせれば、リアルな設計予想図が数秒の間に表示される。設計が終了したら最後の仕上げとして、K1299 iPad と呼ばれるアプリに画像として取り込めば、シミュレーション機能が自動的に作動する仕組みになっているので、クリエイトした建築物がタブレット上にリアル映像として浮かび上がる。
高層ビルからふつうの住宅までどんな建築物の設計にも対応でき、クライアントとコミュニケーションを取りながら、予想図を現実化させるために一役買うこのツール、まさに建築士御用達といえそうだ。
【参考】