
『FUTURUS』では、2015年3月に、画期的な自動蜂蜜採集箱である『Flow Hive』がクラウドファンディングで資金調達キャンペーンを行っていることを紹介した(『画期的すぎる「自動ハチミツ採取巣箱」で養蜂家も涙目必至!』)。
簡単に振り返ると、オーストラリアの養蜂家であるスチュアート・シーダー氏とその息子アンダーソン氏が考案した『Flow Hive』というミツバチ用の巣箱が、人には安全で簡単に、そしてミツバチにはストレスをかけずに蜂蜜を集められる発明品としてクラウドファンディングに登場したのだ。
この『Flow Hive』は、その後どうなったのだろうか。
『Flow Hive』は養蜂スタイルをがらりと変える
『Flow Hive』がどのように画期的だったのかについて簡単に思い出したい。
この『Flow Hive』を使えば、人は防護服を着る必要がなく、煙でミツバチを巣箱から追い出す必要も無い。
そしてなにより、巣箱からわざわざ巣板を取り外す必要もない。
巣板を取り外さないので、それを遠心分離機にかける必要もない。
それではなにをすればよいのかというと、人は『Flow Hive』にセットされた巣板ごとのバルブを捻れば良いだけだった。
すると巣板内で蜂蜜が貯蔵されている六角形の巣穴がずれて、蜂蜜が下に流れ落ちてくるという仕組みだったのだ。
14億円以上を集めたクラウドファンディングでの大成功
この素朴だが画期的な『Flow Hive』は、養蜂家や養蜂を趣味としている人たちから絶大な支持を受け、最終的には1300万ドル以上(約14億円以上)の資金調達に成功した。
当初の目標額は7万ドルだったので、驚異的な成功である。
さらに世界中から注文が殺到し、現在は100カ国以上に出荷をしている。
『Flow Hive』は599ドル(6万円以上)の製品なので、決して安くはないが、その画期的な便利さは価格を十分に上回っていると評価されたのだ。
この大成功はシーダー氏とそアンダーソン氏の親子の生活を一変させたようだ。ビジネスは1年間でいっきに成長した。
現在では世界中に6つの拠点を構え、7つの倉庫を確保した。そして工場も3棟になっている。
また、『Flow Hive』はオーストラリアで最も権威があるデザインの賞である2016年グッドデザイン賞も受賞した。
ニホンミツバチでの利用も期待される
親子はこのビジネスの成功によって、生活が楽になるほどの大金も得られたと認めている。
もちろん、『Flow Hive』の増産のためにも投資しているが、新しい家を手に入れ、新しい車も買えた。
しかしシーダー氏は言う。
「金持ちになる気はないよ。シャンパンで満たされたスーパーヨットやプールは必要ないのさ」
さて、この『Flow Hive』だが、既に日本でも購入した人たちがいる。
また、2016年には東京大学農学生命科学研究科が、元々セイヨウミツバチを対象に開発された同製品がニホンミツバチでも利用できるかどうかを調査するために協力してくれる養蜂家を募集している。
この調査結果についての報告が見つけられなかったが、ニホンミツバチでの成功も期待したいところだ。
【参考】
※ Largest Indiegogo Campaign Ever Flow Hive Has Shipped All Pre-Orders – Crowdfund Insider