
世界中の言語を話すことができれば、どんなに便利だろう。
筆者は独学でインドネシア語の基礎会話を何とか習得したが、下手な発音の言葉でも大いに助かっているという自覚はある。そのおかげで、いろいろな人に巡り合うことができた。
だが、筆者はそもそもが出来の良くない男だ。インドネシア語会話だけですでに容量オーバーである。他の言語を習得できる自信はない。
だから、このような製品があればと少し考えている。
ハワイアンから神父様まで
クラウドファンディング『Indiegogo』に登場した、会話翻訳機『Travis』。じつに80ヶ国語を訳せるということで、世界中のテクノロジーメディアが話題にしている。
このガジェット、オフライン環境下でも20ヶ国語翻訳ができるというから驚きだ。英語、スペイン語、フランス語、中国語、アラブ語の5ヶ国語を習得すれば、世界の大半の地域で生きていくことができる。敢えて極端に言えば、それ以外の言語はプラスアルファと考えてもいい。
だが、Travisは語彙が豊富な日本語、発音が難しいタイ語にも精通しているという。そしてオンライン環境下で使えば、話者の少ない言語すらもカバーできるようになる。
たとえば、ハワイ語。この言語は、一時期絶滅の危機に直面していた。今は地元民や政治家の活動が実り学校でハワイ語を教えるようになったが、それでも第一言語としてはもう使用されていない。
そして、ラインナップの中にはラテン語も。この言語で会話する人々といえば、カトリックの聖職者くらいである。いや、バチカンの神父も日常会話はイタリア語か英語だ。一体どこの誰がラテン語モードを使用するんだと悩んでしまうが、Travisが優秀なガジェットであることに違いはなさそうだ。
「廉価版」は出ないのか?
この製品は、Indiegogoで139ドル(約1万5,000円)という値段で出資者に提供されている。飛び抜けて高額というわけでもない。下世話な計算だが、1ヶ国語につき200円足らずということか。
正直、筆者はラインナップが多すぎると考えている。繰り返しになるが、主要5ヶ国語の翻訳機能があれば地球上の大半の地域で生活できるのだ。それにあと10ヶ国語ほどプラスしてやれば、もはや鬼に金棒である。段階的に翻訳可能言語を減らした廉価版製品を複数用意すれば、さらに多くの投資が集まるのではないか? もっとも、そもそもの値段が高額ではないからその必要はないのかもしれないが。
いずれにせよ、我々人類が「言葉の壁」を乗り越える日が刻一刻と近づいているようだ。
【参考・動画】
※ Travis – I speak 80 languages, so can you! – Indiegogo
※ JOIN THE MOVEMENT! – YouTube
【画像】
※ UC Davis College of Engineering via Visual hunt