
我々の住む日本という国は、夏と冬の気候差が極めて大きい。夏は高温多湿、冬は低温乾燥という基本サイクルで、あたかも別の国のような落差である。そのため、個人向けの気温調節家電というものに大きな需要がある。フロア全体ではなく、あくまでも使用者ひとりを対象にしたものだ。
クラウドファンディングにも、そうした製品が登場している。
気化熱を利用した加湿&冷房機
昨年、アメリカ・ニューヨークのスタートアップが卓上エアコンディショナー『Evapolar』を発表した。そして今回、そのメジャーチェンジ製品として『Evapolar 2』をクラウドファンディングサイト『Indiegogo』に出展させた。
これはスマートフォンと連携するIoT家電。少ない電力で水分を3~4㎡程度のエリアに散布し、加湿を促すという仕組みである。
使用電力は10W。大型家電をひとつ動かすよりも、フロアにいる全員がEvapolar 2を持っていたほうが省エネにつながるという見方もできる。
また、クーラーとしての機能は「気化熱」を利用している。液体が蒸発するためには熱が必要で、その際に発生する冷却効果を活用しているというわけだ。
「自分だけで使う」という考え方
この小型家電は、期限残り21日の時点で目標額の560%、28万ドル(約3100万円)もの資金を調達している。
筆者が思うに、これはアメリカ西海岸の消費者を想定している製品かもしれない。カリフォルニアなどは夏は乾燥し、オフィスワーカーはリップクリームが欠かせないという状況になるほどだ。Evapolar 2は、湿度の高い日本の夏には適合できない製品かもしれない。
だが、「個人で小型家電を使ったほうが光熱費をセーブできる」という発想は見習うべきである。Evapolar 2を参考に、より日本の風土に合ったエアコンディショナーを開発するスタートアップは今後登場するのだろうか。
【参考・動画】
※ Evapolar 2: Smart Personal Air Conditioner – Indiegogo