
これに不満を感じている人は、相当数いると筆者は確信している。
ハイエンドモデルが一様に大型化したということは、日本人の所有するスマホのほとんどがボリュームアップしたという意味だ。だが新興国市場に流通するミドルエンド、ローエンドのスマホは3インチサイズのものが多い。これは「スマホは小さくても構わない」と考えている層がいる、という証拠ではなかろうか。
そもそも、どんな製品も「コンパクトは利点」であるはずだ。
ジャイロスコープ搭載で100ドル未満
クラウドファンディングサービス『Kickstarter』に登場したのは、『Jelly』というスマホ。
この製品は、画像をひと目見ただけでその趣旨を読み取ることができる。とにかく小さい。女性の掌にも収まってしまうほどだ。画面サイズは2.45インチに過ぎない。
ラインナップはふたつ。メモリ1GB RAM/8GB ROMの無印と2GB RAM/16GB ROMの『Pro』である。ナノSIMカードスロットはふたつ用意されている。搭載OSはAndroid7.0。
印象としては、新興国向けミドルエンドモデルという感じである。価格もそれ相応だ。無印は79ドル(約9,000円)、Proは95ドル(約1万1,000円)の出資枠での提供が約束されている。面白いことに、Proの出資者数は無印よりも5倍ほど多い。
正直、無印のスペックでは経済先進国の市場に乗り出すのは難しいだろう。それにProとの価格差が意外なほど大きくない。ならば無印をプロトタイプ、Proを製品版と位置づけてラインナップをひとつに絞ってもよかったのではないか?
だがそれでも、ジャイロスコープ搭載のスマホでここまで値段を抑えたということは大いに評価するべきである。
小さいことはいいことだ

ところでこのJellyは、我が国の総務省が発行する技適マークを取得しているのか?
恐らく、まだその段階に達してはいない。従って、日本国内での製品利用は難しいと判断せざるを得ない。最悪、電波法に接触してしまう。
しかし、「スマホを小型化する」というコンセプトは大手メーカーが汲み取るべきものではないのか。世界のユーザー全員が一様にスマホの大型化を望んでいるということは、まずない。ハンドバッグにいれてもかさばらないスマホの需要は、日本でも必ずあるはずだ。
この記事を読んで製品開発を検討してくれるエンジニアが出現しないことかと、筆者はおぼろげに妄想している。
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