サムスンがスマートフォンと連動する自転車「Samsung Smart Bike」のコンセプトモデルを発表した。
これは4月にイタリアのミラノで開催されたミラノデザインウィークにも出展されたもので、自転車とスマートフォンを連動させて、より安全な自転車利用が提案されたものだ。
自転車のハンドル中央にある磁気装置にスマートフォンをセットすることで、自転車側に装備された各種装置とスマートフォンが連動する。
その結果、スマートフォン側で自転車のライトを点灯したり、画面に走行速度や軌跡を表示させたりすることができる。また、自転車後方の映像がスマートフォンに表示されるなど、安全性を確保する機能が利用できる。
スマートバイクの特徴
スマートバイクの特徴について、もう少し具体的に見てみよう。
まず、スマートフォンをハンドル中央の磁気装置に装着することで、自転車の各種機能がワイヤレスでスマートフォンと連動する。
ライトのオン・オフがスマートフォン側のライトセンサーの受光量で自動的に切り替わる。つまり暗くなれば自動的にライトが点灯する。
自転車側に搭載されているバックカメラが捉えた映像を、リアルタイムでスマートフォンの画面に表示できるため、後ろを振り返らなくても背後の状況が確認できる。
スマートフォンのGPS機能を利用することで、ナビゲーション機能や走行ログを記録することができる。この辺りは様々なアプリが開発されることが期待できそうだ。
また、自転車には自転車レーンを表示する4つのレーザーポインタが装備されている。夜間走行時に、自転車の周囲に仮想的なレーンを投映する。
この機能で、ライダー自身が左右の安全マージンを確認できるだけでなく、自動車や他のライダーに自身の走行位置を知らせることができる。
イタリアの伝統工芸を支える取り組み
今回発表された「Samsung Smart Bike」は、「Samsung’s Maestros Academy」が手がけた。
「Samsung’s Maestros Academy」はイタリアの伝統工芸の後継者が不足していることや若い世代の失業率が高まっている状況を同時に解決しようとする取り組みだ。
例えば革細工やオーダーメイドシャツ、パスタ職人などの技術をインターネットで映像配信したり、リアルタイムチャットを活用して配信している。
「Samsung Smart Bike」のコンセプトも、イタリアの有名な自転車フレーム職人ジョバンニ・ペリッツォー氏とSamsung’s Maestros Academyの受講生であるアリス・ビオッチ氏が協力してデザインした。
健康と安全をサポートするスマートバイク
イタリアでは自転車事故の多さが問題になっているが、日本でもこの数年間の自転車事故が交通事故に占める割合は約2割で推移している。
また、東日本大震災の後には、「自転車ツーキニスト」と呼ばれる自転車で通勤するサラリーマンも増加したようだ。健康志向とエコ志向によるのだろう。
「Samsung Smart Bike」は実際に発売されるかどうか未定なようだが、実現は難しく無さそうだ。
実現されれば、自転車事故を減少させると共に、新しい自転車の楽しみ方も生まれてくることが期待できる。