千葉県松戸市、松戸駅前エリアでアーティストやクリエイターと共にまちづくりを行う「MAD City」というプロジェクトがある。
同プロジェクトを手がける株式会社まちづクリエイティブは、不動産事業を中心に、コミュニティづくりの支援、コワーキングスペースの運営などを展開している。
写真はMAD Cityプロジェクトを展開するまちづクリエイティブのオフィス。MAD City Galleryという店名で、入居するアーティストの情報や地域のフリーペーパーなどが設置されており、まちの情報が集まっている。
古民家アトリエ物件とそこから生まれるまちのアート
不動産事業では築約100年の古民家「古民家スタジオ 旧・原田米店」をアトリエ物件として貸し出し、クリエイターやアーティストを呼び込んで「クリエイティブなまちづくり」を行っている。
例えば、街なかに壁画を描いたり、地元の提灯屋さんの店舗リニューアルを手がけるなど、集ったクリエイターたちは地元に溶けこみながら活動している。
古民家スタジオ 旧・原田米店の中庭では度々入居者によってパーティーが開催されている。
古民家スタジオ 旧・原田米店に入居していたアーティストによる作品。
老舗提灯屋のリニューアルではクリエイターがルーバーの原画作成を手がけた。
DIYで物件を改装しながらコミュニティが生まれる
また、DIY可能・原状回復不要の賃貸物件を揃えており、アーティストやクリエイターのみならず、DIYに関心のある若者が入居し、コミュニティを形成している。
賃貸物件の一つである、通称「MADマンション」では共有スペースを整えたり、度々食事会が開催されるなどご近所づきあいが盛んだ。
2010年からのプロジェクト開始以降、入居者自身が主体となって様々な企画を行うようになってきた。例えば、前述の古民家スタジオ 旧・原田米店での手作り市や、MADマンションに入居するデザイナーによる個展などが開催されており、入居者自身もまちの活性化に一役買っている。
古民家スタジオ 旧・原田米店で開催されている「おこめのいえ手創り市」。松戸を中心に活動する出展者らが手作り雑貨や料理を出品している。
MADマンションに入居するデザイナー、佐藤大輔さんの作品展。
そして、今年から始まった松戸駅前のコワーキングスペース「FANCLUB」は昼間はコワーキングスペースとして運営され、営業時間外にはレンタルカフェやイベントスペースとして貸し出しを行っている。
現在は定期的に入居者であるパフォーマンスユニット「AAPA」による” ほぐして、つなぐ。からだを動かす時間“と称してからだをほぐすダンスレッスンが行われている。気軽にダンスに触れられる機会となり、参加者にも好評だ。
アーティストやクリエイターはもちろんだが、そうでない人も自分のクリエイティビティを刺激されるようなMAD Cityプロジェクト。既存の環境を生かしながらまちに新しい層を呼びこむ取り組みは、全国の疲弊したまちの再生のヒントになる取り組みだ。
今後も変化を続けるMAD Cityの動向に注目したい。