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BASF発表の最新カラートレンドから時代の気分まで読み取れる?

BASFから、最新のクルマのカラートレンドが発表された。

BASFとは、クルマの塗料をはじめ、さまざまな化学製品を供給する欧州のケミカルカンパニー。グローバル市場の自動車ビジネスを支えるビッグ・サプライヤーのひとつだ。ファッションの世界にカラートレンドがあるのはよく知られているけれど、実はクルマにも、同じようなものが存在しているのだ。

「自動車のカラートレンドは、私たちが実際に路上を走る車の色を見るまでに、コンセプトの組み立てから生産まで通常約3年から4年かかります。カラートレンドは徐々に変化し、時間の経過とともに形作られます。私たちは、色の濃淡や効果、見え方によって、独自の表現が今後ますます見られるようになることを期待しています」と、BASFジャパン株式会社でアジア太平洋地域のカラーデザインを担当するチーフカラーデザイナーの松原千春は述べた(リリースより引用)。

カラフル

このカラートレンドは、BASFがまとめたもので、結果は自動車メーカーに提案として知らされるという。提案が必ず採用されるものではないが、新型車のカラーにはそれなりの影響があるという。

さて、気になる太平洋アジア地域の調査をチェックしてみたい。

アジア太平洋地域の人々の価値観にも2つの傾向が見受けられます。ひとつは、「私も」(me too)という他者と同調的な姿勢や行動に変化が見られ、より自らのアイデンティティや独自性を育み、自分を「表現する」方向に移り変わっています。これらの価値観を表現する色として、「個」を表現するような「鮮やかな赤」など明るく、力強い色が今後も継続して拡大するでしょう。

一方で、人々は新しい、感性に訴えるような経験を望んでおり、その関心は表面的なものからより深く精神的なものへと移行しています。自分のルーツや文化、アイデンティティを見直し、長い年月をかけて、物質主義から、より情緒的でバランスのとれた快適な生活を追求するようになりました。これらを表す色として、穏やかで、温かみがあるカッパー(銅褐色)やグレー系、ブラウン系が挙げられます。ゆとりやバランスのとれた快適な生活を表現する傾向があります。

つまり、より個を表現する強い色と、深みを求める暖かみのある色がトレンドになるというのだ。具体的には、ブラウン系が定着し、温かみのあるカッパー(銅褐色)やグレー系など情緒的なカラーの人気が高まるという予測だ。

力強く経済成長を続けているアジア太平洋地域のトレンドとしては、なるほど!という説得力を感じられる。綿密な現地調査によってレポートが作られているのだろう。逆に見れば、カラーから、その地域の今の気分を知ることができるわけだ。

Dear New Identity(愛すべき新しいアイデンティティ)Asia Pacific

アジア太平洋地域のトレンド予測として提案されたテーマは『DEAR NEW IDENTITY(愛すべき新しいアイデンティティ)』。溌剌としたビビッドブルーなどは、アイデンティティの強さを表現。

Dear New Identity(愛すべき新しいアイデンティティ)China

『DEAR NEW IDENTITY(愛すべき新しいアイデンティティ)』の中国のトレンドカラー。パールとメタリックの中間のようなシルバーホワイトや、ほんの少し赤みに変化するグレーは、アジアのアイデンティティを温もりある意匠で表現している。

ボディカラーひとつにも、さまざまな配慮が込められている。新型車が登場したときは、どのカラーバリエーションにも目を向けてみてほしい。そして、そこに、どんな時代の気分が反映されているのかを考えてみよう。

*参考:BASF、アジア太平洋地域における自動車のカラートレンド予測を発表 : Welcome to BASF Japan