IT/テック

ベンツの「自動運転トラック」開発デモに見る自動運転の将来性

ダイムラーベンツが 2025年の自動運転トラック実用化へ向けて、アウトバーンでデモ走行を行った。

運転手がハンドルから手を離し、タブレットPCで別のことをしてもトラックはアウトバーンを高速巡航することが可能。

ベンツの自動運転トラック

技術的には1,640フィートの通信距離を持つWi-Fiで車車間通信を行いながら、レーダーで左右側面197フィート、全方位レーダーは820フィート、フロントにマウントされた近距離レーダーで230フィートの範囲を監視。さらにステレオカメラがフロントウィンドの下に装備され、画像認識で周囲の状況を正確に把握する。

進化する自動運転技術

自動運転開発は昨今、各自動車メーカーのみならず、Googleが参入して開発競争が激化している。その背景を反映し、イギリスのある街では100台もの自動運転自動車を導入し社会実験を来年行うほか、カリフォルニア州では9月から自動運転自動車がナンバーを取得、実際に公道を走行してのテストが可能となる。これまでテストコースなどクローズドな場所でしか行われていなかった開発が、公道を使ったテストへと段階が上がっている。

日産では2020年に自動運転自動車を発売することを発表、リーフをベースとした開発車両を使いプレスにデモ走行をするなど積極的である。実際に筆者もこの開発車両に乗せてもらい、ハンズフリー走行を体験したが、現時点でも周囲環境の認知、そして危険察知、危機回避といった「認知・判断・操作」のレベルは高く、初心者や高齢者にありがちな心もとない運転よりも安心して乗っていられた。

これは、センサー技術やコンピューターの処理能力が飛躍的に発達し、これまで人間が認知から操作までするのに数十ミリ秒かかっていたのが、もっと短い時間で正確な操作が可能になったため。

また人間のドライバーは健康状態、疲労などによるバラツキがあるが、機械はいつでも正確な操作が可能で、より安全となるのは時間の問題。

悲惨な事故を防ぐために

特に高速バスやトラック運転手の過酷な労働環境を鑑みたとき、ドライバーの疲労度によらず安全な走行が可能となる自動運転技術は、悲惨な事故を未然に防ぐという観点からもより積極的に採用してほしいもの。高速道路だけ、という限られた環境であれば建設の状況や標識は一定の品質を保っているため、2025年といわず、もっと早く導入可能ではないか。

一方で技術の進歩に法整備がついていけていないのが課題で、技術が完成しても走らせられない、では困るため、こちらも同時に進めてもらいたい。

*参照:Mercedes-Benz Unveils Self-Driving ‘Future Truck’ on Germany’s Autobahn