電気料金の値上げが続く中、近頃では住宅地の屋根にも多く設置されるようになったソーラーパネル。
トヨタやホンダなどの大手自動車各社もEVやPHVの販売を伸ばすべく、住宅メーカーとのコラボでソーラーパネルを備えた住宅とクルマをセットにした「スマートハウス」の開発に余念が無い。
「スマートハウス」ではEVやPHVの駆動用バッテリーを充電する際にも太陽光発電が利用可能となっており、ソーラーパネルは今や生活の一部として組み込まれつつある状況。
メガソーラーの設置が全国で急増
その一方でソーラーパネルによる大規模太陽光発電「メガソーラー」の建設が各地で進んでいる。
出力が1メガワット(1,000kW)以上のシステムを総称するもので、政府は低炭素社会を目指す中、2008年に事業目的としての太陽光発電の導入を奨励。
2012年5月には再生可能エネルギーの普及を目的に、発電した電気を一定期間、固定価格で買い取るよう、電力会社に義務付ける「全量固定価格買い取り制度」が施行。
これを機に一般企業や自治体で売電や発電用に「メガソーラー」を採り入れる事例が急増。
「メガソーラー」による発電は火力や原子力発電に比べて安全性やメンテナンス性、環境負荷の少なさ等で優れており、設置スペースさえ有れば太陽が輝く限り発電を続ける事が可能。
佐賀県が自動車専用道路にメガソーラーを設置
2013年4月の道路法施行令の一部改正により、太陽光発電用設備等が道路の占有許可対象物件として追加された事を受けて、佐賀県が年内の完成を目標に「有明海沿岸道路」の一部区間を使ったメガソーラーの建設工事を始める。
佐賀県は昨年10月、都道府県管轄道路への太陽光パネルを設置・運営する事業者を全国で初めて公募、今年7月に2社と建設事業の基本協定を締結。
有明海沿岸道路の南側斜面に2kmに渡って太陽光パネルを設置する計画で、想定出力規模は約1MW、パネル設置枚数は約3,900枚に上る。
用地を20区画に分けて、それぞれの区画に低圧(50kW)の発電設備を設置。年間の発電量は120万kWhの見込み(一般家庭340世帯分)。大規模災害時には非常用電源として活用することが可能。
7月中に工事をスタートする予定で、発電開始は本年12月を予定。
災害発生時には非常用電源としても利用可能
工事を請け負った2社は佐賀県と5年ごとの契約で最長20年間に渡って発電事業を運営出来ると共に、道路の法(のり)面使用料が免除される。
平地の少ない日本ではメガソーラー設置用のまとまった土地面積を確保出来るケースは限られており、今まで活用されていなかった自動車専用道路法面の有効利用が加速すれば大規模災害発生時の非常用電源として、さらにはEVやPHVによる長距離移動時の電欠対策用としても利用範囲が広がる。
今回の佐賀県の取組みを皮切りに、日本全国で官民連携による道路用地を活用したメガソーラー発電事業が拡大する事を大いに期待したい。