コペンハーゲンの朝、通勤の時間帯になると、街は自転車であふれる。この街では35%以上の人が自転車通勤や通学をしている。
スーツを着たビジネスマンも、「クリスチャニア」と呼ばれるカーゴ付きの自転車に子どもを載せて走るお母さんも、みんな自転車レーンを走る。
中には自転通勤する大臣もいるという。
それもそのはず。
コペンハーゲンでは「世界一の自転車都市になる」ことを目指し、2015年までに自転車で通勤、通学する人の割合を50%にするという目標をかかげている。市では、CO2の削減という環境面と、車による渋滞を減らす交通政策、そして健康面から自転車通勤や通学を後押ししているのである。
そのための施策はきめ細かい。市内には全長約400kmの自転車レーンや道路がはりめぐらされ、主要な道路には自転車専用の信号もある。水路の多い土地なので、自転車専用の橋を作ったり、市外から市内に通う人のために自転車専用ハイウエーも建設され、今後もルートの新設が数多く予定されている。
冬は零下になるこの地域では、雪が降れば、車道よりまず自転車レーンから除雪をするという。市内中心部は朝の通勤時間帯は、自転車道の信号待ちをなくすように計画されている。これにより時速20kmを超える平均時速で走れるようになり、利用者に好評を博している。
早く目的地に着き、費用がかからず、健康にもいい。コペンハーゲンの人達は、都市生活には欠かせない必需品として自転車をとらえているようだ。
電車にも自転車をそのまま載せられる車両がある。これはデンマークだけでなく、オランダ、ベルギー、ドイツといったヨーロッパ都市の電車も同様だ。公共交通と自転車の連動がスムーズなので、国境を超えて旅をするサイクリストも多い。
コペンハーゲンでは、国のエネルギー政策や環境政策と連動して、自動車より自転車を優先する施策がしっかり位置づけられている。
このような事例をみるにつけ、「東京にも自転車専用道路が欲しい」そう思う人は多いのではないだろうか。