トヨタ自動車がデンソー、豊田中央研究所と共同で新素材「SiC」による高効率パワー半導体を開発した。
「PCU」そして「SiC」とは一体何なのか
PCUとは「パワーコントロールユニット」の略で、車の走行時にはバッテリーの電力をモーターに供給し、減速時には回生した電力をバッテリーに充電する動作をコントロールする部分であり、ハイブリッドカーにとっては必要不可欠なパーツとなっている。
このPCUのパワー半導体の材料は主にシリコンなどで作られているが、このパワー半導体「SiC」ははシリコンと炭素の化合物を採用し、パワー性能を大幅に向上させた。また電流の流れもシリコンと比べてコントロールしやすくなったため、燃費向上と本体の小型化も実現された。
この「SiC」はどのようにして生み出されたのか
SiCは、1980年代から豊田中研、デンソーが基礎研究を始め、2007年からはトヨタも研究に参加し実用化に向けた技術開発が共同で進められ開発された物である。
この3社で共同開発した「SiCパワー半導体」を使ったPCUをHVの試作車に搭載させテストコースを走行した際には、5%を超える燃費向上が確認された。この結果を受けて開発が加速し、2013年12月には電子制御装置や半導体などの研究開発及び生産の拠点である広瀬工場内に、SiC専用の半導体開発のためのクリーンルームが整備された。
将来的にはこの「SiC」を駆使し、PCUの体積を現在使われているPCUの五分の一にする事が目標とされている。
この「SiC」の将来は果たして
ハイブリッドカーの更なる燃費の向上と、パワー向上が期待される中、画期的な技術として活躍の場を広げる事が予想される「SiCパワー半導体」だが、ハイスピードで進化していく事が義務付けられた車の技術の中で、更なる進化が求められる日が将来必ず訪れる。
その際求められた姿に柔軟にアジャストしていけるのであれば、この「SiCパワー半導体」は未来の車には欠かせない技術となり、永く使われるパーツとなって行くことだろう。
その時に柔軟にニーズに応える進化が出来るのであれば、この「SiC」は長く扱われる素材となっていくはずだ。