緑に囲まれたプライベートな庭でリラックス、というのは魅力的な時間の過ごしかただが、一般的な都市居住者にとって、庭を所有するというのはハードルが高い。しかし、時間貸しの庭があったらどうだろうか?
ただ「庭」というとニュアンスが伝わらないかもしれない。原語では「Garden」。イギリスの話題なので、ガーデニングされた綺麗な庭をイメージしたほうが適切だろう。都会のまっただ中にある整備された庭を、時間単位で借りることができるというものだ。
庭も「所有」から「ストリーミング」へ
このプロジェクトは、イギリスのマンチェスターで開催された「Dig The City」という都市のガーデニングイベントのなかで期間限定で行われたものだ。プロデュースしたのはデジタルデザインの会社マグネティック・ノース。
その発想のきっかけがおもしろい。現代人の映像や音楽の消費形態が、「所有」から「ストリーミング」にシフトしていっていることから、庭にもその形態をあてはめたらどうだろうと考えたのだ。
もちろんここにはイギリス特有の気候や文化も反映されているだろう。雨が多く、晴れ間の少ないイギリスでは夏の間にできるだけアウトドアを楽しみたいと思うようだし、ガーデニングに対する憧れも強いようだ。とはいえ、実際に庭を所有するとなるとその手入れも大変だ。
期間限定だが無料で利用できる
そういった問題を解決する効率のいい方法として、オンデマンドで(必要に応じて)2時間単位で使うことができる時間貸しの庭という提案が出てきたのだ。この手軽さと柔軟さは現代のニーズにマッチしているといえるかもしれない。
この「オンデマンド・ガーデン」は、8月2〜10日の期間、マンチェスターの中心部のビクトリアン・ビルディングという建物の屋上に設定され、無料で使用することができる(予約は必要だ)。またWiFiも使うことができるため、さまざまなニーズに応えることができるようになっている。
利用希望者は、plotmanchester.comにアクセスし、そのサイトから必要事項を記入して申し込む。今回のプロジェクトは期間限定だが、今後こういったサービスがレギュラーなものになったり、ビジネスになっていくことも考えられる。
日本でもカラオケボックスや漫画喫茶など、インドアで一定のスペースを借りられるサービスはあるが、アウトドアでというものはなかなかない。この「オンデマンド・ガーデン」、読書、デート、グループの会合など、さまざまな用途が考えられる。日本でも実現すれば素敵な空間になるのではないだろうか。
*出典:magneticNorth、PLOT