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AppleやGoogleが自動車への進出で狙うものは何か?

AppleのCarPlayやGoogleのオープンオートモービルアライアンスなど、モバイルOSが自動車に入り込む。

そこに一定以上の利益が確保できなければAppleやGoogleは自動車業界に参入しようとは考えないだろう。実は私たちはすでにその鍵を目の当たりにしていたのだ。

CES Las Vegas 2014

「ググれ」という言葉に代表されるように、Googleをただの検索エンジンと考えている人は多いことだろう。

確かに検索エンジンの代表的な地位を築きあげ、その検索エンジンを無料で使用できるという環境は非常にありがたいのだが、ではGoogleはなぜ検索エンジンを無料で提供しているのかと言えば、莫大な広告収入があるからこそ、といえる。

その広告収入こそが自動車業界への参入の鍵となる。

複数の大手広告代理店の自動車担当、IT担当から取材した話を総合すると、Googleはナビゲーションマップを使って現在位置と時間によるリアルタイム広告を展開しようとしている。

これは走行開始からの走行時間によって給油や食事、コンビニなどのスポットを地図上に「何気なく表示」することで広告効果を挙げようということだ、とのこと。

広告らしく見えないようなアイコンレベルの表示であっても走行中に必要だと感じれば、そのアイコン表示の店やスポットに立ち寄ってしまう可能性は非常に高い。そして、立ち寄ったスポットはクラウド側でビッグデータとして扱われ、ドライバーの趣味趣向が反映されるようになっていく。

例えばコンビにはファミリーマートで給油はエッソ、などという好みは、全て位置情報と連動して蓄積されてくるのだ。

趣味趣向に沿った地図表示から一歩進んで、例えばエッソはセブンイレブンとポイント提携しているから、ドライバーはファミリーマートが好みであっても、そこにセブンイレブンのアイコンを入れ込んでくることもありえる。

そういったことをビッグデータとクラウドを組み合わせることでナビゲーションマップに反映させる。実はPCやスマホ版の広告サービスであるGoogleアドセンスでは同じような事例をすでに行っている。

またAppleの場合はナビゲーションマップなどの地図情報にはGoogleに出遅れている感もあるが、バーチャルコンシェルジュの「Siri」が大きな鍵となってくる。AppleのCarPlayでも「Siri」は当然サポートされており、ハンズフリー機能で「Siri」に付近の情報を検索させると、位置情報による広告要件を伴った回答をしてくるということになる。

Audi TT Coup

最近発表されたアウディの新型メーター「SMART METER」は全面液晶で、メーターパネル全面にナビゲーションマップを映し出すことが出来る。

これは、世の中の自動車がカーナビゲーションを標準装備するのが当たり前であるということの証明でもある。今後展開されるであろう自動運転などはカーナビゲーション機能がなければ始まらない。

カーナビゲーションの必要な装備にGPS受信機能があるが、このGPSの位置情報がLTEなどの高速ネット回線を通じてビッグデータとして集積され、マーケティングなどにも活用されるなど、AppleやGoogleなどモバイルOSベンダーにとってもビジネスチャンスに広がりが生まれる。

そう考えると、自動車メーカーと手を組むことはモバイルOSベンダーにとっても「おいしい」話となるのである。

*写真:AUDI.AG