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結局アメリカ次第!? 各社が燃料電池自動車に注力する意外なワケ

最近、日本で燃料電池車の普及に向けた動きが本格化している。

トヨタは2014年度中に「売り切り型」として発売すると発表。ホンダも2015年中には、新型燃料電池車を量産開始する公算が高い。

2000年代初頭、第一次ブームを迎えた燃料電池車。その後に不遇の時代を経て、再び普及を目指している。その大きなキッカケとなっているのが、アメリカだ。

FCV

CARBのZEVという縛り

トヨタは今年1月、米ネバダ州ラスベガスで開催された世界最大級の家電ショー「CES2014」で、新型燃料電池車のアメリカンプレミア(米お披露目)を行なった。

そのなかで米国トヨタの幹部は「新しい時代の画期的な技術革新」を強調した。

しかし、実際のところ、アメリカ人でFCV(Fuel Cell Vehicle/ 燃料電池車)の存在を知っている人は少ない2000年代初頭の第一次ブームでも、GM、フォード等がコンセプトモデルを発表しているが、アメリカの一般市民は、そんなことを気にも留めなかった。

水素ステーションの設置も、ロサンゼルス周辺のごく限られた地域しかなく、ハリウッドのセレブがホンダ「FCXクラリティ」をリースしたが、大きなトレンドには至らなかった。

では、なぜいま、トヨタやホンダが日本だけでなくアメリカでも、燃料電池車の普及に力を入れようとしているのか?

その答えが、ZEV(Zero Emission Vehilce)規制法だ。

これはCARB (カリフォルニア州環境局・大気保全委員会)が1990年に制定した法律。これまで、何度となく修正が加えられ、その度に世界の自動車メーカーが振り回されてきた。

ZEV(Zero Emission Vehilce)規制法

燃料電池車については、CaFCP(カリフォルニア・フューエル・シェル・パートナーシップ)を設立。日米欧韓のメーカーが歩調を合わせて、燃料電池車の実証試験を行なってきた。

そうしたなか、2017年夏にZEV法が一部改正される。

これに伴い、EV (電気自動車)、または燃料電池車の販売が「義務化」される自動車メーカーが増える。

トヨタとしては、ZEV法をクリアするためにも、燃料電池車の早期販売が必然なのだ。

中国政府の動きにも注意が必要

アメリカ以外では、中国で燃料電池車の普及促進の動きが再燃しそうだ。次世代車に対する補助金制度「十城千両」が、2013年9月に改定された。

そのなかで、燃料電池車には個人向けで20万元(約340万円)、商業向けで50万元(850万円)もの購入補助金が出る。

中国地場メーカーの開発促進、さらには日本を含む世界から燃料電池技術を呼び込みたい考えだ。

日本、アメリカ、さらに中国で進む、政策主導型の燃料電池車普及の動き。その動向をじっくりと見守っていきたい。