2014年8月28日、インドネシア・バリ島にあるグリーンスクールにて国連事務総長Ban Ki-moon(パン・ギムン)氏立ち会いの下、グリーンスクール、REDD+、UNORCID(国連インドネシアREDD+調整事務所)の三者による共同事業の了解覚書が交わされた。
グリーンスクールが行っている環境問題に特化した教育プログラムをインドネシア全土の学校に広げ、2017年までに100万人の子供たちを環境親善大使として育てようという壮大なプロジェクトだ。
国連事務総長によるスピーチ
この日グリーンスクールを訪れたのは、事務総長の他、REDD+インドネシア総長、UNORCID理事、ノルウェー王国外務大臣代理、在インドネシア・ノルウェー大使。これだけのVIPがジャングルの中の学校へやって来ることは極めて異例だといえる。
全てが竹で作られた学校施設や、環境保全・エネルギー・農業などへの取り組みを視察した後、全校生徒と全学校関係者を前にして講演と締結セレモニーが行われた。
パン・ギムン事務総長は、未来のグリーン・リーダーを育てることを目的とするこの学校の教育姿勢を称賛し、こう述べた。
「ここは、私が今まで訪れた学校の中で、最もユニーク且つ印象深い学校だといえます。この世界をいつまでも美しく保とうという強いビジョンと行動力に、私は深く感謝します。」
また、急激な気候変動が途上国の経済発展や貧困層の生活改善に悪影響を与えることを懸念し、今後の施策決定は今まで以上に困難なものになっていくだろうと、現在世界が抱える諸問題を交えながら語った。そして最後に生徒たちに向けてこう約束した。
「近い将来、あなたたちはリーダーとなるだろう。だから私たち大人は、全ての人にとって今日より明日が少しでも良くなるように最大限の努力をし、この世界をあなたたちに繋いでいく責任がある。」
REDD+の役割
REDD(Reduction of Emission from Deforestation and forest Degradation)+は「途上国における森林減少と森林劣化からの排出削減並びに森林保全、持続可能な森林管理、森林炭素蓄積の増強」の略称で、途上国に対し森林保全に経済的インセンティブを提供することで、森林を伐採するよりも残す方を経済的価値の高いものにしようという試みだ。
アマゾンやインドネシアなどの熱帯雨林を伐採することで放出される森林蓄積CO₂は、世界の全排出量の20%にもなるという。これを減少させることは喫緊の課題であり、また最もコスト的にも可能性の高い効果的な方法だといえる。
REDD+とそれを支援する国連は、インドネシアにおける教育活動パートナーにグリーンスクールを選んだ。同校が世界に誇るグリーン・スタディをインドネシア全土で展開し、100万人もの若きリーダーたちを国家を挙げて育成しようというのだ。
学校創設者ジョン・ハーディーがかつて見た”世界を変えるグリーン・リーダーたちを育てる”という夢は、着実に実現しつつある。
*参照:Green School、REDD+