グーグルに集まる頭脳
グーグルの量子コンピュータ開発に参加したマルティニス教授の研究グループは、量子コンピュータ研究では世界でもトップクラスと言われており、2008年には超伝導量子コンピュータを実現している。
また同教授は、今年の4月には低温物理学分野で与えられる「Fritz London Memorial Prize」を受賞しているが、その権威は、同賞の過去の受賞者10人がその後、ノーベル賞を受賞しているということからも推し量ることができるだろう。
今回のプロジェクトへの参加のために、マルティニス教授の研究グループはグーグルのサンタバーバラ・オフィスに拠点を移している。
マルティニス教授の研究グループはまた、4月には量子コンピュータの発展に大きな貢献をしていた。
Wikipediaによれば、量子コンピュータでは従来のコンピュータのビットに対して、キュービット(量子ビット)で計算する。ビットが0と1のいずれかの値しか持てない事に対し、キュービットは0と1の値を任意の値で重ね合わせて持つ事ができる。
例えば100キュービットであれば、1ビットが持つ2の100乗分の値を保持して計算できるということだ。
ところがこのキュービットが不安定であるために、それを補正する技術が必要だった。マルティニス教授等は、キュービットの不安定性を取り除く量子誤り訂正技術なるものを実証したことを発表したのだ。
この量子誤り訂正技術によって、量子コンピュータの商業開発が現実味を帯びたのだという。
Googleの量子コンピュータへの拘り
グーグルが量子コンピュータの研究を行うのは今回からではない。「Quantum Artificial Intelligence Lab」は2013年の5月にNASA(米航空宇宙局)と提携して設立されているのだ。
また、D-Wave Systems社のコンピュータが本当に量子コンピュータかどうか怪しいと言われた時期に、最も早く購入したと言われているのもグーグルだった。
そして今回の発表は、いよいよグーグル自身が量子コンピュータのハード開発に着手したことを示している。
グーグルのエンジニアリング責任者ハートムット・ニーブン(Hartmut Neven)氏はブログで、マルティニス教授の参加で、量子コンピュータの新しい設計の試験や実装が可能になったと記している。
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