ホンダが2000年に世界初の二足歩行ロボット「アシモ」を登場させた際、世界のロボット研究者達を大いに驚かせた。
独特な歩き方や腰を低くして小走りする姿は結構ユーモラスだったが、そんな「アシモ」登場から14年が経過した今年の9月1日、人間と同じような姿勢で走る二足歩行ロボットが公開された。
「前傾姿勢」で高速走行
東京大学大学院、情報理工学系研究科の石川正俊教授らが開発したもので、脚長140mm、重量800g の上半身が無いパイロットモデル。
走行速度は4.2km/hで、人間に換算すると時速20km/hに相当。宙返りも可能。
「アシモ」の場合、人間の走り方とは異なり、歩行や小走りの際はほぼ直立姿勢。
一方、人間とそっくりな走り方をする「ACHIRES(アキレス)」と名付けられたこのロボットは途中で転びそうになっても姿勢を立て直すことが可能で、これまでの二足歩行のロボットでは実現できなかった「前傾姿勢」で走ることを可能にしている。
その秘密は高速度カメラを使った「ビジュアルフィードバック技術」にある。
「走る」技術と「画像処理」技術を融合
軽量かつ高出力なモーターで路面を瞬間的に力強く蹴って加速した後、着地姿勢へ高速で復帰。
その際の「ACHIRES」の腰や脚の動きを高速度カメラで計測、走行中にバランス崩した場合は転ばないように指令を出しているのだ。
走行中の姿勢を600フレーム/秒の画像処理により高速で認識することで転倒を事前に回避、安定した走行姿勢を維持することに成功している。
これら2つの要素技術を組合わせることで、俊敏な反応動作が可能になった。
今後は高速度カメラを「ACHIRES」本体に搭載して自身の動きを認識させる予定と言う。
このパイロット・モデルが人間並みのサイズとなって各種機能を持つ上半身を得た場合、今後のロボット利用の未来が大きく開けて来そうだ。
人間の能力を遥かに超える歩行・走行能力を身に付けたヒューマノイド型ロボットが開発される可能性も出て来る訳で、将来的には映画やアニメに出て来るようなヒーローの出現もまんざら絵空事では無くなるかもしれない。
*参考:東京大学 石川 渡辺 研究室