一部報道では、芋焼酎「黒霧島」などを発売する宮崎県都城市の酒造メーカー「霧島酒造」が、芋焼酎の製造などで発生する粕などを活用したバイオマス発電事業を9月から宮崎県内で開始すると発表した、と伝えている。
メイン商品の芋焼酎はサツマイモを原料として作られているが、その工程で発生する粕は1日に800tにも及ぶといい、この再利用に2003年から取り組んでいる霧島酒造では2003年から粕を使ってメタンガスを発生させる焼酎粕リサイクルを行ってきた。
工場敷地内には焼酎粕リサイクル施設を設置してメタンガスを回収し、焼酎の醸造や蒸留などに使用する熱源として利用してきたのだが、それでも精製されるメタンガスの約4割を使用するにとどまっており、残りのメタンガスを使って発電をするというのが今回の発表のようだ。
この焼酎粕サイクルによる発電では年間に一般家庭1,000世帯に相当する400万kwhを発電し、その全てを九州電力に売却することで年間1億5千万円の売り上げを見込んでいる。
酒造は大量の粕を発生させ、米原料の粕の場合は粕そのものを食品として販売させることも出来るが、それ以外の酒造原料の粕は上記のフローチャートをご覧いただくとわかるように、食品として流通できないようであり、そのリサイクルという大きな課題に取り組んだ霧島酒造は賞賛に値する。
その霧島酒造では、発電を開始する以前からの焼酎粕リサイクル事業で平成19年度 第12回新エネ大賞『新エネルギー 財団会長賞』を受賞しており、この発電事業もかなり大きな評価を受けることであろう。
酒造以外でも食用油生成など粕や糟の発生する事業は数多い。会社規模の問題もあるだろうが、そういった廃棄物を廃棄物にしない取り組みはわたしたちが知らないだけで、もうすでに始まっているのである。
*参照:霧島酒造株式会社