ここ数年、市場を盛り上げつつある共創マーケティング。さまざまな形で企業と消費者、ユーザーが協力し合い、モノづくりやイノベーションを誘発させるというものだ。
国内では、キリンビールが“はまっ子のための”ビールづくりをした「カンパイ会議」や、無印良品の「モノづくりコミュニティー」が先駆けとなり、日本マクドナルドやユニクロも共創マーケティングに取り組んでいる。
共創に携わるのは、主にその企業やブランドのファン。
完成時には、参加者は大きな達成感を得ることができ、企業側は商品への愛着を持ってもらい更なる売上に繋がるという、理想的な商品開発だ。
しかし今回注目したのはその先をいく、次世代の共創マーケティング。
ハイヒールを共に創る
「 Dream Heels 」は靴の中でもハイヒールに限定したECサイト。サイトを開くと、カラフルで様々なデザインのハイヒールがいくつも並んでいる。
そして目に飛び込んでくるのは「Design Your Dream Heels」の文字。その言葉どおり、ハイヒールのデザインをしているのは実現したいデザイン案を持っているユーザーだ。
実現したいデザインのアイデアを持っている人は、サイトが配布している「デザインテンプレート」と、デザインを立体画像にして表示できる「3Dシュービューワー」をダウンロードし、アイデアを形にしていく。
そうして創り上げた自分だけのデザインをサイトに投稿し、製品化を目指すというプロセスだ。
製品化されるのは、120日以内に一定の支持を得られたデザインのみ。消費者や他のデザイナーが集うコミュニティサイトで議論を交わしたり、より洗練されたデザインにブラッシュアップされたり、他のデザインと比べられて投票されたりする。
こうしたプロセスを経て製品化されたデザインはもちろんオンラインで通販されるが、それだけではない。
デザイナーには現金250ドルとサイト内で使用できる仮想通貨250ドル分が報酬として贈られ、さらにその製品が1,000足売れる毎に、3,000足まで500ドルずつのボーナスが与えられる。合計すると、最大で2,000ドルもの報酬を得ることが可能だ。
ただデザインをして満足感を得るだけでは終わらない、まさに夢のハイヒール創り。
消費者は投票などによって自分の意見が反映された思い入れのあるハイヒールを手にでき、アイデアがあればデザイナーになれるチャンスがあり、製品化されれば報酬も受け取れる。
サイトに関わるすべての人が幸せになる、次世代の共創マーケティング。これから様々な分野に広がっていくことが期待される考え方だ。
*参考:Dream Heels | Design Your Own Shoes! Unique Printed Pumps, Leopard Print Shoes, Zebra Print Heels.