ヒマラヤ山脈の麓に位置し、政策に国民総幸福(GNH)を掲げ、「幸せ」と感じる国民の割合が世界一多いことで知られるブータン王国。
そんなブータンでEV革命が進行している。
国民の幸福のために日本の自動車会社の協力を得てEV先進国を目指そうとしているのだ。
と言うのもブータンではクリーンエネルギーである水力発電で必要十分な量の電力を作り出しているものの、自国内での電力消費量は僅か5%程度。
インドからの高額ガソリン輸入が課題
余剰した95%の電力をインドへ輸出して利益を得る一方、その利益の殆どを逆にインドから輸入している高額なガソリン燃料に費やしている状況。
ブータンの首都ティンプーは4万台近いガソリン車を抱えており、環境にもよくないことから、政府は2011年以降、化石燃料車の輸入を禁止。
水力発電によるクリーンエネルギーを有効活用する「総EV化計画」を推進しており、輸入関税を含めてEV購入者には環境税、消費税など、一切の税金を免除する方針。
また、充電ステーションを100km間隔で設置、2020年を目処に首都ティンプーを走るクルマの8割をEVにする目標を掲げている。
国をあげて総EV化を推進
当初、首都に2,000台のEV車を導入するという計画から始まったこのプロジェクトは、2014年2月に日産のカルロス・ゴーンCEOがブータンを再訪して以降、本格化。
2013年に行われたブータンのツェリン・トブゲイ首相とゴーン氏の会談を経て、日産は翌2月にEV普及で全面協力するという内容の覚書を交わしている。
その際、日産は共通ビジョンの証として「リーフ」2台と充電器1基をブータン王国に供与。
ブータンに於ける自動車普及台数は数万台程度に留まるものの、日産にとっては同国での取り組みが世界的に注目されることによる宣伝効果や新興国でのEV事業の可能性を検証できるメリットが有る。
日産・三菱自がEV化に全面協力
ツェリン・トブゲイ首相は2014年7月、日産に加えて三菱自ともEV普及で協力関係を結んだことを表明。
ブータン政府は将来、自国内の全てのクルマをEV化するとしており、当面EVを増車して首相専用車や警察車両、タクシーなどに利用する予定。
同国はゼロ・エミッション国家の実現にあたり、EV化を重要な戦略として位置づけており、首都10万人以上の交通手段をクリーンエネルギーで賄う「クリーン・エレクトリック」シティの実現を目指している。
*参考:ブータン政府観光局