今年の12月に「はやぶさ2」が新たな小惑星「1999JU3」を目指して地球を旅立とうとしている。
2003年5月9日に地球を出発した小惑星探査機「はやぶさ」は2年後の2005年に目標である小惑星「いとかわ」に到達。
その後数々の苦難を乗り越えて出発から7年を経た2010年6月13日に総行程60億kmの長旅を終え、地球に「いとかわ」の貴重なサンプルを持ち帰ることに成功したのは記憶に新しいところ。
任務を果たしてオーストラリアの上空で燃え尽きた様子は世界中で報道され、我々に感動と勇気を与えてくれたのではないだろうか。
後継機「はやぶさ2」の特徴
今年の8月31日、JAXAは後継機「はやぶさ2」の機体を公開した。
初代「はやぶさ」と似ているものの、イオンエンジンの推力を20%アップ、交信用のアンテナも2個に増設されている。
3億km彼方の小惑星との交信に備え、従来の「Xバンド」に加えて周波数が4倍高い「Kaバンド」用アンテンナが追加されたことで通信速度が向上、大容量の情報送信が可能となった。
また自律航法機能を搭載しており、ターゲットとなる小惑星「1999JU3」へのタッチダウンの際、探査機が地表の凹凸などの状況を自身で判断して着地点を決めるなど、地球から都度指示しなくてもミッションをこなせると言う。
今回「はやぶさ2」が目指す「1999JU3」は先回探査した小惑星「いとかわ」とは異なり、惑星の構成物質に水や有機物等が含まれていると考えられている。
そこで「はやぶさ2」では小惑星に到着後、重量約2kgの弾丸を秒速2kmの高速で惑星表面に打ち込んで人工的にクレーターを作り、惑星内部の物質をサンプル採取するシステムを導入。
これにより、小惑星内部のより新鮮な物質を採取可能となっている。
「はやぶさ2」の新たな惑星探査ミッション
JAXAによれば小惑星を目指す理由は火星や金星のように大気や重力が有ると、その影響で太陽系や生命の起源を探るための情報が風化してしまっているためで、その点、小惑星の場合は大気も無く重力も小さいことから、太陽系が形成された頃の情報をそのままの状態で維持していると言う。
そうした観点から、より貴重な情報が豊富な小惑星「1999JU3」から物質を持ち帰ることが出来れば太陽系起源の謎が解明出来るかもしれないという訳だ。
小惑星「1999JU3」は炭素質の惑星とされていることから、JAXAは生命の起源に迫れるとの期待をかけている。
「はやぶさ2」は12月に種子島から打ち上げられ、2018年夏頃に小惑星「1999JU3」に到達、1年半惑星に滞在して探査やサンプル採取後、2019年冬頃に惑星を離脱、2020年の東京オリンピック開催の年に地球に帰還する計画となっている。
米国も日本の「はやぶさ」のサンプルリターン技術に刺激を受けて惑星探査機を年内に打ち上げようとしており、欧州でも同様の計画が進められていることから、2代目「はやぶさ」のミッション成果に世界からも大きな注目が集まりそうだ。
*参考:JAXA