次世代型のIoT (Internet of Things)として注目されている、ウエアラブル。
そのイメージとしては、「世界のネット産業をリードするアメリカで普及している」と思う方も多いだろう。
だが、現実は違う__
ウエアラブルの店頭販売が目立つ欧州
欧州の主要な国際空港で、腕時計型のウエアラブルが店頭販売されているのが目立つ。
上の写真は、オランダ・スキポール空港の様子。ソニー「スマートウオッチ2」がセール販売。価格は149ユーロ(約2万700円)だ。
アメリカの場合、腕時計化型ウエアラブルが店頭販売されることは珍しい。
腕につけるタイプのウエアラブルはヘルスケア系が主体。販売場所は大手スーパーのウォルマートやターゲット等だ。こうした状況は、スマートフォンの銘柄による影響だ。
欧州では、アンドロイド系としてソニー「エクスペディア」やサムソン「ギャラクシー」が人気。腕時計型ウエアラブルは、これら機種のオプション設定という位置付けだ。
対するアメリカでは、こうして機種の販売量が少ない。グーグルグラスもデベロッパー向けが主流で、一般への普及はまだまだ先だ。
こうしたなか、欧州最大級のIT・電機製品見本市「IFA2014」(2014年9月5〜10日 /ドイツ・ベルリン)では、新型の腕時計型ウエアラブルが多数登場。
ソニーは「エクスペディアZ3」と連動した「スマートウォッチ3」、さらにはメガネ型ウエアラブルのイメージを世界初公開した。その他ではサムスンは「ギャラクシーギアS」、
そして同じく韓国のLGが「GウォッチR」を世界初公開した。これらはアップルがアメリカで9月9日、「iPhone6」及び「アップルウォッチ」の発表を牽制した動きだ。
家電、キッチン、リビングルーム、クルマと進むIoT
今回、IFA2014の主役は「ホームコネクト」だった。
ドイツ電機メーカー大手のボッシュやシーメンスは、電子レンジや洗濯機とスマートフォンとの連携強化を発表。2015年から続々と、ホームコネクト関連商品が量産される。
こうした動きは、まさにIoTが本格化し始めたことを証明するものだ。サムスン電子は同地の講演で「2020年までにIoTの総数は2,120億個に達する」とのデータを基に、世界事業体制はIoTに大きくシフトされると宣言した。
ベルリン現地で電機業界関係者と意見交換してみると、欧州発IoT本格化の波は今後、アメリカ、そして日本にも伝播するとの声が多い。
リビングルームやキッチン等、家の中でのIoTの操作デバイスのひとつとして、腕時計型ウエアラブルが急速に普及する可能性が出てきた。
さらには、クルマも「IoTのなかのひとつ」という考え方が進みそうだ。
今回のIFA2014では、BMWがEVの「i3」と「ギャラクシーギアS」との連携を世界初公開。
同ブースのドイツ人女性コンパニオンが、自分の腕に装着した同機種を使って、車内エアコンのON/OFF操作のデモを行なっていた。
欧州発の腕時計型ウエアラブルのトレンド。
果たして日本ではブームとなるか?