6月中頃に、渋谷の道玄坂にユニークな図書館がオープンする。営業時間は深夜1時まで、カフェスペースがありビールも飲める、という図書館だ。
図書館の名は「森の図書室」。
この、少々変わったコンセプトの図書館は、一人の男性の夢から始まった。男性の名は森俊介氏。森氏は30代男性だが、彼の夢は中学生の頃から始まった。
「いつか、自分の図書館をつくる」
それが年を経るに連れて、場所は渋谷、ただ本を貸し出すのではなくカフェの様に飲食をしたり、音楽を聴きながら読書ができること、といったコンセプトができあがっていった。そうだ、蔵書も1万冊を目指したい、と考えた。
しかし夢は夢で終わるもの──。ところが時代は、彼の夢を後押しすることになる。
夢の実現はクラウドファンディングで
森氏の夢を後押ししたのは、クラウドファンディングという仕組みだった。クラウドファンディングにもいろいろあるが、森氏が活用したのは「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」(http://camp-fire.jp/)だ。
森氏はこのCAMPFIRE上で、自らの夢を熱く綴り、支援金を募った。
するとそのコンセプトや森氏の真摯な姿勢に共感した多くの人達の間で反響を呼び、森氏が目指した10万円をあっさりと超え、プロジェクト立ち上げから僅か2日で10倍の100万円の資金が集まり、一週間もすると400万円を超え出した。
そして驚いたことに、最終的には9,530,000円もの支援金が集まることになる。
そう、クラウドファンディングという仕組みが、一人の男性の夢を実現するために効力を発揮したのだ。
このクラウドファンディングでは支援者たちのことをパトロンと呼び、支援額に応じたリターンが得られるという仕組みになっている。
例えば500円のパトロンには好きなドリンク一杯と席が提供され、お礼のメッセージが添えられる。5,000 円なら希望の本一冊が名前入りで蔵書として図書室に収められ、ドリンク一杯と席が提供されるなどだ。
このリターンはかなり細かく設定されており、上記の他、8,000円、10,000円、30,000円、150,000円と段階に応じたリターンが用意されている。
ちなみに最高額の150,000円を支援したパトロンへのリターンは、図書室の入り口ドアを広告スペースとして1ヶ月間利用でき、1日室長体験、会員権、Facebook秘密のグループへの招待、希望の本一冊が名前入りで蔵書となる、好きなドリンク一杯+席、お礼のメッセージとなる。
クラウドファンディングで語る夢
森氏はクラウドファンディングのCAMPFIREで以下の様に支援を呼びかけた。(CAMPFIREからの抜粋)
はじめまして、森と申します。
今回ぼくには成し遂げたい夢があり、クラウドファンディングに応募させていただきました。その夢とは、『渋谷に夜の図書室をつくること』です。
とはいえ、図書館をはじめるにはお金がかかるし、なにより儲かりません。
しかし、大人になり(5月で30歳です)、少しずつではありますが社会を知っていく中で、もしかしたら、図書室をやりながらでも、自分がなんとか食べていくくらいのお金を稼ぐことができるのでは?
と考えるようになり、今回、渋谷に図書室をつくることを決意しました。
まもなく夢が実現
そして森氏の支援金が前述の通り驚くべき金額に達すると、森氏はCAMPFIRE上にお礼を綴った。(CAMPFIREから抜粋)
クラウドファンディングの開始からちょうど一ヶ月がたちました。
みなさまの応援のおかげで、すでに900人以上の方々から、
600万円を超えるご支援をいただいています。
本当に、本当にありがとうございます。一ヶ月前はこんな反響をいただけるなんて、
夢にも思っていませんでした。『わたしもこういうことがやりたかった』
『こういう場所があったらいいなと思ってた』
『本に囲まれてお酒が飲めるなんて最高』こういったコメントを何百、もしかしたら千に達する数、頂いています。
もちろん、一つ一つ全て目を通させて頂いていますし、正直、コメントを読んでいて何度か泣きました。
今までの人生で、こんなにも人に応援してもらえたことって本当にありません。
クラウドファンディングという新しい仕組みが、これまでは諦めざるを得なかった夢を実現させるツールとして登場した。
私たちは誰かの夢を後押しすることも簡単にできるし、自分の夢を多くの人達に支援してもらうことも、難しいことではない時代を迎えている。