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次世代の低燃費コンロが途上国の台所に希望をもたらす

このアイテムを開発しているレソトのアフリカン・クリーン・エナジー社によれば、世界ではいまだに30億のひとが”たき火”に準ずる火や、有害な燃料を使って煮炊きしている。

そして、毎年約400万人のひとが、屋内での調理の際の煙の害によって命を落としているという。想像できると思うが、その犠牲者の多くは発展途上国の女性や子供だ。

自然の木などをそのまま燃やすのは、完全燃焼しにくいため有害なガスを発生し、また利用できるエネルギーの効率もよくないのだ。また制御が難しいので火事の原因にもなりやすい。

そういった事態を改善するために開発されたのがこのACE 1と名づけられた調理用コンロだ。ひとつめの特徴は幅広いバイオ燃料を使うことができる。木のペレットが望ましいそうだが、やおがくず、枝、家畜の糞、とうもろこしの穂軸など、さまざまな廃棄物に対応する。

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そして、燃料を効率よく熱エネルギーに変えるため、有害なガスの発生を抑えるとともに、燃料消費量自体も抑制することができ、森林破壊や温室効果ガスの発生を減らすことができる。

また、火のコントロールが容易なので、火事も起こしにくくなる。

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適切に空気を供給することで効率のいい燃焼を実現する

では、どんな技術が効率のいい燃焼を可能にするのだろうか。このACE 1の本体はステンレスのボディの中にセラミックの燃焼室を持つ二重構造になっている。そして、台座部分にはファンが装着されている。

そのファンでまず燃焼室下部に空気を送るため、火がついた燃料部分の温度は1,000度にまで上がる。そうすると燃料から可燃性のガスが発生するが、温められたガスが上昇していく燃焼室上部に、ふたたび十分に空気を供給してやることで、そのガス成分をほぼ完全燃焼させることができるという。これによりこのACE 1は、従来型の単純なコンロに比べて70%も燃料消費を抑えることができるというのだ。

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上記の記述からわかると思うが、このACE 1は電力を使う。ただし、そのためのバッテリーを台座部分に備えているので、屋外でも使えるし、オプション設定で太陽光充電器もあるので、自然エネルギーだけで使うことが可能だ。また、LEDライトもオプション設定されている。これは内蔵バッテリーの電力で使えるものだ。つまり電気が通っていない場所でも人工の明かりが使えるようになるのである。

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アウトドアレジャーにも向いている

このACE 1、もともとは発展途上国の調理事情を改善するために開発されたものだが、先進国でのアウトドアライフにも最適だ。キャンプの際やバーベキューの際には、従来のコンロや七輪より効率よく使うことができるだろう。

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バッテリーのすぐ上で火を燃やすというところにやや不安も感じるが、信頼性の高いものになればアウトドア・クッキングの定番アイテムのひとつになるかもしれない。

なおACE 1を開発しているアフリカン・クリーン・エナジーは、現在量産化に向けて試作品をテストする段階に来ているが、同時にクラウドファンディングのサイトKickstarterで資金を募集している。

*出典:African Clean EnegyKickstarter -ACE 1 No Smoke Stove | Use the Sun to Turn Wood into Gas-