ターンするPIBOT
IT/テック

自動操縦ではなくロボットが飛行機を操ることの意味

シカゴで行われたロボット関連の国際学会「IROS 2014」(9月14日~18日)で、韓国のKAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology)が、飛行機を操縦する低コストな人間型ロボットを発表した。

操縦桿を握るPIBOT

この小型のロボットは、小型化された航空機のコックピットで、人間のパイロットと同じようにボタンやスイッチ、あるいはレバーを使って、飛行機を操縦するシミュレーションを行って見せた。

パイロットの条件を満たすロボット

この「PIBOT」と呼ばれる人間型ロボットは、傾きや対気速度、GPSによる位置情報などの大部分の情報をシミュレーター自体から得ているが、滑走路の形状などは自分で見て判断している。

PIBOTとコックピット

そして「PIBOT」の操縦技術は、連邦航空局(FAA)のフライングハンドブックのいくつかの要件を満たしているという。

想定された飛行機

「PIBOT」は飛行シミュレーターの中で、自律的に操縦して見せている。

まず滑走路上に停止している状態で、飛行する準備を行う。バッテリーをオンにして、各種スイッチを人間の様に押していく。

スイッチを操作するPIBOT

そして制御レバーを操りながら滑走路を走行すると、適切な速度に達した時点で離陸させた。

やがて飛行機をターンさせ、再び滑走路に近付くと、距離に合わせて減速させ、なめらかに着陸させた。

ターンするPIBOT

ヒューマノイドの向かうところ

飛行機に限らず、自動化すれば良いというのであれば、例えば自動車を無人走行できるようにロボット化すれば良いし、飛行機も自動操縦機能を高めていけば良いだろう。

今回の「PIBOT」は、わざわざ人間が操縦する方法を再現するという一見遠回りな開発をしているように見える。

しかしヒューマノイドが向かおうとしているところは、この人間の動きや認識能力や判断能力を身に付けることだろう。

その意義は、人間が利用するために用意された環境に柔軟に対応出来るロボット、つまり応用力のあるロボットの実現にあるのだと思う。

飛行機の操縦は、そのためのアプローチの一つであると感じられた。

*画像出典:Humanoid Robot Learning to Fly Real Airplanes