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自動車メーカー8社が燃費向上・排ガス低減に向けタッグを組む

欧州勢との競争力に危機感

AICE設立の背景の一つは、欧州勢に対する競争力強化がある。日本の技術力は決して欧州に負けている訳では無いとしながらも、欧州の開発体制や標準化による開発効率の高さには遅れをとっているという危機感が、日本の自動車産業界にはある。

欧州では自動車関連技術を産学官で共同研究するコンソーシアムが多く存在し、特に内燃機関の基盤技術については共同開発の仕組みが出来上がっている。

そのため、日本の自動車メーカーはハイブリッド車や電気自動車の開発ではリードしているが、内燃機関の技術では欧州勢に脅威を感じてきた。

特にガソリンエンジンより燃費性能が良いとされているディーゼルエンジンでは日本勢は劣勢となっており、欧州でのディーゼルエンジン車市場では日本車のシェアは僅か5%程しかない。欧州では2台に1台はディーゼル車と言われているのにだ。

そこで日本でも産学官が協力できる体制を立ち上げることで、欧州勢に対する競争力を高めることがAICE設立の目的となった。

AICEシステム

さらに高まる環境への配慮

AICE設立のもう一つの背景が各国の厳しい燃費・排ガス規制だ。前述した通り、欧州ではコンソーシアムを組み、ダウンサイジングの技術やクリーンディーゼルの技術が磨き上げられてきた。

この燃費基準や排ガス規制に自動車メーカーが個々に対応するには、開発時間やコストが増大しており、各社のエンジン開発の速度も落ちてきていた。

そこでAICEでは内燃機関の燃費向上や排出ガス低減を研究テーマとし、大学などの研究機関と協力し、その成果を各自動車メーカーが製品開発に利用することを目指す。

まずは2020年までに、ガソリン・ディーゼル共に現在40%前後の最高熱効率を50%にまで高め、CO2排出量も2010年比で30%削減したいとしている。

また、ディーゼルエンジンが燃焼した際に発生するPM2.5などの粒子状物質やNOxを後処理装置で低減する際の予測シミュレーションや評価法などの開発も行う。

さらに今後は新興国が自動車メーカーの主戦場になると予想されているが、ここではハイブリッド車や電気自動車ではなく、8割以上はエンジン車での競争になると見られているのだ。

自動車産業を支える人材育成

そしてAICEに期待されている3つめの効果は、人材育成にある。内燃機関研究に予算が付く仕組みを作ることで、大学での自動車関連研究が増加することが見込まれているからだ。

そのことで、大学などの研究機関において、内燃機関に関する技術を習得した人材育成が促進されるであろう。

現在、日本ではエンジン開発に携わる人材の先細りが懸念されている。例えばホンダでは、最近はエンジン開発よりもロボットや航空機への希望者が多いと言う。

人材のエンジン離れが進んでいる現状を、AICEが食い止めることが期待されている。

*参照:AICE – 自動車用内燃機関技術研究組合