日本ではまだ普及しているとはいえないが、英語圏において次世代の電力供給について語る際に流行している言葉がある。「オフグリッド」だ。
グリッドというのは送電網のこと。したがってオフグリッドというのは、電力会社の送電網に頼らずに電力を創出できることをいう。しかも環境に配慮したシステムにおいて使われることが多いキーワードなので、持続可能エネルギーを使っているものが多い。
これもそのひとつだ。ニューヨークに本拠地を置くVoltaグループが作った充電ステーションである。「ENGO」と名づけられたこの充電ステーションは、12の充電器と2つのUSBポート。そして2つのワイヤレス充電パッドを備える。ユーザーはそこにスマートフォンやそのほかのUSB機器を接続して自由に充電することができる。
公共の場所への設置が期待される
ENGOは上部にソーラーパネルを備え、太陽光によって発電を行う。それともうひとつ、フロア部分には振動によって発電するタイルも備えていて、ひとがその上を歩くと充電される。電力はそのふたつの方法によってまかなわれる。いずれもサステイナブル(持続可能)なエネルギーだ。
またENGOはフリーWiFiも提供するので、ENGOの近辺ではWiFi経由でインターネットに接続することができる。さらにワンタッチで911番(日本における110番)に緊急連絡ができるボタンが備わっているので安心だという。
ポータブルタイプを期間限定で大学に設置
基本的にユーザーに対しては無料で充電もWiFiも提供することを想定している。そのため、公告を掲載して広告収入を期待していると思われる。じっさいこのシステムの場合、日当たりがよく、それなりに人通りが多いところのほうが発電効率がいいはずなので、公共スペースに設置して公告を掲載するにはピッタリだ。下がそのENGOのプロモーション動画である。
そして、このENGOのうち、移動可能なポータブルタイプが、AT&Tファンゾーン・ツアーの一部として全米をまわることになった。ENGOが訪れた最初の地になったのはミズーリ州のウェブスター大学だ。太陽光発電ももちろんだが、タイルの上で足踏みをしたりジャンプをしたりすることで発電されることに興味を引かれている学生の写真も見られる。
今後、こんなオフグリッドな充電ステーションが公共の場に登場したら楽しそうだ。また、充電ステーションというのは、太陽光や振動タイルの用途のひとつにすぎない。屋外で使われるさまざまな装置に幅広く活用されていくことになるだろう。