ドイツポストDHLは9月24日(ドイツ時間)に、「DHLパケットコプター(DHL Paketcopter)」(英語名ではDHL percelcopter)と名付けられた無人航空機で、ドイツ・ユイスト島への医療品定期宅配実験のプロジェクトを開始することを発表した。
このプロジェクトは、2013年12月から開始した無人航空機の研究から継続されたプロジェクトで、アーヘン工科大学や、Microdroneの協力により実現することになった。
ヨーロッパ初の自動貨物航空便の認可
定期宅配実験はアーヘン工科大学やMicrodroneと共同開発した「DHL Paketkopter 2.0」を使用して行われる。
ドイツの北西にあるノルデンからユイスト島までの12kmを飛行させるが、そのためにヨーロッパ初となる自動貨物航空便の認可を受けた。
この認可をうけるまでに、飛行時間や飛行範囲、飛行速度などの改良を重ねてきただけではなく、この地域の風や海洋気象といった気象条件にも最適化を重ねてきた。
航空輸送コンテナも軽量であるだけでなく、耐水性がある特殊な物を開発している。
また、認可を得る条件として、自動離着陸や自動飛行をしながらも、地上局で常に監視し、緊急事態発生時には即時に人が介入して手動操作ができることという安全上の制限を受け入れている。
「DHL Paketkopter 2.0」は毎秒18メートルで飛行することができる。高度は50mを飛行することになっており、この度のプロジェクトのために、排他的な飛行領域も認められた。
実験で確認されるのは、島への定期フェリー便では間に合わない医薬品の緊急輸送に対して無人航空機による宅配が実用的で信頼性があるかどうかだ。これを数週間の試験輸送を実施することで確かめる。
通常の宅配便の前にできること
ドイツポストDHLでは、まだ無人航空機を通常の宅配便事業には導入する具体的な予定はないとしている。
しかし今回の実験で得られた技術上や経済上の実用性が確認できれば、例えばすぐに通常の宅配事業に導入できなくても、緊急時や人口の少ない遠隔地への宅配には先行導入できるのではないか、ということを確認したいとしている。
既にFUTURUSでも取り上げた様に、無人航空機による配送の実用化についてはアマゾンやグーグルも開発を進めている。
まだ法的な整備も追いついていないが、今回のプロジェクトの様に、緊急性が高い物資の配送や離島への配送などが優先して実現するかもしれない。
*画像出典:DHL parcelcopter launches initial operations for research purposes