商品を購入することで、消費者が社会貢献できる仕組みが拡大している。日本でも、コーヒーやオーガニックコットン製品、そしてチョコレートなどで「フェアトレード商品」が増えているのをご存知だろうか。
フェアトレードとは、発展途上国で作られた製品を適正な価格で継続的に取引することによって、生産者の生活を支える仕組みである。
米国ユタ州に本拠地を置く「cotopaxi」は、消費者にネットを通じて販売するアウトドアギアメーカーだが、フェアトレードの精神をさらに明確にした仕組みを提案している。
たとえば、ステンレスの水筒「INDIA」を20ドルでオンラインで購入したとしよう。その売上の一部は、インドで飲み水の確保に苦労している人1人に、6か月間、きれいな飲み水を提供するための支援に使われる。
また、女性用の暖かいジャケットを購入すると、その売上の一部はグァテマラの女性のためのコミュニティにおいて、出産と育児のための母親への教育や、社会に出るためのトレーニング費用に使われる。ジャケットを購入することが、6割を超える高いグァテマラの乳幼児の死亡率を減らすことにつながるのである。
このように、「cotopaxi」はどの国でどのように社会貢献されるのか、具体的な支援先まで明確にされることで、より具体的なアクションが見えるところがうれしい。
「GEAR for GOOD」。cotopaxiが掲げるミッションは、消費が社会を変える明確な1歩を強力に後押しする。「消費は選挙と同じ」と良く言われるが、まさに何を購入するかは社会を変える力をもっているのである。
cotopaxiのギアアイテムは、品質やデザインにも力を抜かない。61年という長い期間の使用にも耐えうるように作ってある。61年間というのは開発途上国での平均的な人の寿命だそうだ。バックパックなどの主要な繊維製品はフィリピンやバングラデシュの工場で丁寧に作られる。
また、広告などのマスメディアではなく、facebookやtwitter、instagramなどのソーシャルメディアを多用して広げているところも、商品そのものがソーシャルなものであることを特徴づけている。
そろそろ、価格やデザインだけで商品を選ぶ時代から、環境やソーシャルな意味を考えた消費に変わる時期がくるはずだ。それを具体的に見せてくれているのが、このまだスタートしたばかりの、明確な目的をもったブランドcotopaxiなのではないだろうか。