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バリ島の「犬問題」は異文化間のギャップを超えられるか?

情熱だけが、人を動かす

さて、リンダは自らをこう語る。

私は自分がなぜこんなことをし続けてきたのかを上手く表現することができない。これからどうなっていくのかも・・・。

8年前、虐待され路上で死を待つだけだった犬を私は家に連れて帰った。そんなことをずっと繰り返してきた。

私はただ犬たちのそんな惨めな姿を見ることが我慢できなかっただけ。他の人たちのように見て見ぬ振りができたら、なんて思ったりもしたわ。

でも私って、反抗的で、厚かましくて、気性が荒くて、頑固なのよね。でも私の心は、人情と動物たちへの愛であふれているのよ。

環境・人権問題同様、社会と動物の関係は一筋縄ではいかない問題だ。外部からやって来た人間がいくら”問題”を指摘したところで、現地の人々は聞く耳すら持たないことが多い。彼らにとってそれは”問題”ではなく”日常”であり、そんなことに時間を割くことは一円にもならないからだ。彼らはこう考える。

「今日までそれでやってきたのだから、明日もそれで大丈夫だろう」

リンダの尽きることのない情熱と、後先考えない行動は、どこまで人を動かすことができるだろうか。

*画像出典:BARC「STRAY」 Budaya Productions