少し前まで特殊な職業のひとだけが使っていた装置を、スマートフォンを通すなどして一般のひとがどんどん使えるようになっている時代だ。そうなると、特殊な用途にしか使われていなかった道具にも、また新しい用途が発見されるかもしれない。
まさかサーマルカメラをこんなに簡単に一般ユーザーが手に入れられることになるとは想像していなかった。
サーマルカメラとは、撮影している対象物の温度を、色で表示することで、温度を可視化する装置だ。今年はスマートフォンで使えるサーマルカメラが、あいついで発売されているのだ。
※「SEEK THERMAL」の動画より。
有名メーカーが出したケース一体型モデル
まずは「FLIR ONE」という製品。これはサーマルカメラを専門にしている有名メーカーであるFLIR社から発売になっているのだが、iPhone用バッテリーケースとセットになっていて約350ドル(現在はアメリカ国内のみで販売)だ。
FLIR ONEはバッテリーケースと一体になっている強みで長時間の撮影ができる。また、カメラをふたつ備えていて、通常画像とサーマル画像を両方撮影し、ミック スさせた映像を表示することで、サーマル画像だけではわかりにくい物体の形状などもわかりやすく見えるように工夫されている。
よりリーズナブルなモデルも登場
それに対して、先月末に発表された「SEEK THERMAL」という製品は、やはり温度関係の技術者によって作られたカリフォルニアのメーカーが開発したもので、より簡易な作りになっている。カメラはひとつしか備えていないので、FLIR ONEほど物体の形状を鮮明に判別することはできないが、199ドルと安価だ。
いずれもスマートフォンのモニターを表示部として使うという点で共通している。これまではほとんどプロ用の機材しかなかったサーマルカメラを現実的な価格で一般人が入手できるようになったのは大きいだろう。なにせ、ほかに代用できるものはないのだから。
さて、このサーマルカメラでなにができるだろうか? たとえば治安の悪い場所であれば、暗闇にひとが潜んでいるのを簡単に発見できる。夜中に庭に入り込んでくる動物を見つけることもできる。下は、SEEK THERMALの機能を紹介した動画である。案外幅広い用途に使えそうだ。
また、バーベキューの炭の火力をチェックしたり、プロパンガスの残りの量を見るなんてこともできるようだ。また、窓やドアの隙間からどのように熱が逃げているかなどがわかれば、より省エネな住宅に改善することもできるだろう。そして、広く普及すれば、いままでには想像していなかった新しい使い道も発見されるかもしれない。
*出典:FLIR、Seek Therma