近年のソーシャルメディアを利用した様々な情報発信には、その影響力や話題性、新しい価値観にしばしば驚かされる。
そのなかでも最近SNSに鮮烈な彩りを添えているのが、アメリカで話題の「ランニング」×「エンターテイメント」イベント“COLOR ME RAD”だ。
2012年にスタートしたこのイベントは、現在までに150本以上を開催。数千~数万人もの参加者が全長5Kmのコースを駆け抜けるランニングイベントなわけだが、順位やレコードを気にする者は1人もいない。コース内に設けられた「カラーステーション」で散布されるカラーパウダーで、ランナー達は色とりどりに染められていく。
コースを進みながらそれぞれカラフルに色づいていくランナー達は、その“非日常”をお祭り気分で楽しむ。
その光景は、参加せずとも見ているだけで自然と笑顔が溢れ、参加者の高揚感がダイレクトに伝わってくる。
アメリカやヨーロッパ各国で開催されてきたこのイベントは、2014年の4月に日本初上陸を果たし、7月には大阪で第2回目を開催。その後も日本主要都市を彩っていく予定。
このイベントがSNSでここまで広がった大きなポイントは、やはり誰もが目を奪われる、そのカラフルさだろう。
膨大な情報量が行き交うSNSでは、視覚への訴求力がとても大きな意味を持つ。どんな情報も、人に読まれ、その人の知識に変わるまではただのプロトコルに過ぎない。COLOR ME RADのコンセプトは、そんな人間の深層心理を巧みに刺激し、たちまち世界を巻き込んでいったのだ。
しかもその視覚へ訴えかける手段が、目を覆うようなショッキング映像や、妖艶な女性の裸体などではなく、誰をもハッピーにする、ただの“色彩”だというのがまた画期的だ。
カラーパウダーにまみれた弾ける笑顔は、ソーシャルメディアで多くの人の心と、大きな成功を掴むための重要な鍵を握っているのかもしれない。