スポーツジムに通っていたころ、ジム利用者が消費しているエネルギーを、施設のために還元できないものかと思ったことがある。もっとも私が使っていたのはおもにプールなので、私が発した熱は温水プールの温度を保つのに少しは役立ってるわけで、ちゃんと還元できていたわけだが。
でも、選手たちがプレーすることで発電を行うサッカー場がブラジルにできてしまった。場所はモーロ・ダ・ミネイラ。リオデジャナイロのなかの観光業や私企業の利益の恩恵にあずかることができない地区だ。シェルのサポートで再開発したサッカー場に、発電タイルが敷かれたのである。
使用されたのはイギリスのPavegenという発電タイルだ。ひとつが450×600mm、厚さ68mmのこのタイルはその上をひとが通過するときの振動によって発電する仕組みになっている。そのPavegenが200枚、このサッカー場の人工芝の下に設置された。
Pavegenはこれまでもヒースロー空港に設置されたり、ロンドンオリンピックの際に地下鉄の駅に設置されたりした実績はあるものの、サッカー場は世界初だという。
このサッカー場では、太陽光パネルとともに、この発電タイルが電力を作り出し、バッテリーにためることで、照明を最大10時間つけることができるという。この地区に若い世代のサッカープレーヤーが多いことや日照が豊富なことも好条件だった。
このサッカー場は夜遅くまでオープンしているという。若者が明るく安全にサッカーを楽しめる場所になったのだ。それも化石燃料由来のエネルギーを節約しつつ。
運動は健康にはいいし楽しいけれど、ある意味エネルギーの浪費といえなくもない(化石燃料じゃないけど)。それが多少なりとも化石燃料の代わりにエネルギー源として還元できるというのは喜ばしい。スポーツジムなども将来はそういう方向に向かうのだろうか。
*出典:Pavegen Systems、YouTube -Shell and Pelé Inspire Future Energy Scientists With Soccer Pitch | Shell-