9月7日に、千葉・幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2014」に行ってきた。今回はそこで展示されていた中から、東芝のブースで展示されていた人間型手話ロボットを紹介したい。
「CEATEC JAPAN 2014」の会場は、予想していたほど混雑はしておらず、一部の大手企業のブース以外は少々閑散としており、今ひとつ盛り上がりに欠ける状態だった。欧米メーカーが日本市場に魅力を感じなくなったのか、参加していないことも原因かもしれない。
その中でも大きなスペースを確保している東芝のブースは、それなりに賑わっていたが、最も人が集まっていたのは、ブースの裏側でひっそりと展示されていた人間型ロボットの前だった。
人間そっくりな「地平アイこ」
そこには「地平アイこ」(ちひらあいこ)という名が付けられたロボットが受付窓口を再現したセットに展示されていた。
手話を行いながら語っている。近付くと、確かに人が集まるだけのことはあり、肌の質感も形状も人間そっくりにできている。
特にまぶたの動きが生きているかの様で、見ていて少々ぞっとした。また、手の質感も、やや男性的な無骨さがあったものの、本物の人間の手と変わらない。
「地平アイこ」は移動することはできないので、表情や手の動きと、音声で人間らしさを表現している。
東芝では、この人間型ロボットを、2015年度中に実用化したいとしている。
人間らしさを動きで表現
この人間型ロボットは、東芝グループ社員のアイディア提案制度から生まれた。開発には芝浦工業大学、湘南工科大学、エーラボ、大阪大学が協力している。
目指しているのは、言葉や文字では伝わらない表情や身振り手振りも加えたコミュニケーション能力だという。
今後も展示会などで活躍する予定であり、貸し出しも行う。
「地平アイこ」の名前は、当初「アイコ」といった名前だけの案だったが、名字が無いと呼びにくいということで、「地球平和」を略した「地平」という名字を付けたらしい。
高齢者の話し相手や見守りへ
展示会場の「地平アイこ」は、まだ予めプログラムされた動作パターンと挨拶をする程度だが、今後は動作パターンを増やし、音声認識や様々なセンサーを搭載することで、コミュニケーション能力を高めていく。
将来的には高齢者や認知症患者の話し相手や、手話で会話できるロボットを目指し、福祉やヘルス分野での活用を計画している。
会場では「地平アイこ」を見たとき、それを人間だと錯覚するのでは無く、「地平アイこ」を見た後で他のブースに行ったときに、そこで説明しているコンパニオンがロボットに見えるという錯覚を起こしてしまった。
*画像:筆者撮影