中華料理は油の使用量が多い。
食用油は、そのまま排水口に流すと、環境汚染の原因になったり、配水管を詰まらせたりする。しかし廃食用油からバイオ燃料を生成することも可能だ。航空機にはバイオ燃料を使うこともできる。
おや、これらはすべてつながるではないか!
ボーイング社によれば、ボーイング社とコマーシャル・エアクラフト・コーポレーション・オブ・チャイナ(中国商用飛機有限責任公司)は、廃食用油を再生し航空機用のバイオ燃料に変えるデモンストレーション用設備をオープンした。
チャイナ・USアビエーション・バイオフューエル・パイロットプロジェクトと名づけられたこの設備は、Hangzhou Energy & Engineering Technology社の技術を利用して、廃油の有害成分を浄化し、1日650リットルのペースでジェット燃料を生成するという。
食用油の再利用で二酸化炭素が削減できる
食用油は基本的に植物性か動物性なので再生可能エネルギーと考えていい。こういった再生可能なバイオ燃料を使用すれば、石油を使った場合と比べて、そのライフサイクルで見れば50〜80%の二酸化炭素排出量削減が可能だという。
中国では、年間18億リットルのバイオ燃料を作ることができるだけの廃食用油が出されていると両社は見積もっている。今回オープンした設備は、将来的にもっと多量のバイオ燃料を作り出す場合の、技術的、コスト的な算定を行うことを目標にしている。
ボーイング社の予想では、中国の急速な旅客の増加に対応するためには2033年までに6,000機もの新たな航空機を導入する必要があると見られている。その航空機産業の成長を、環境問題にも配慮しながら達成するためには、こういったバイオ燃料の導入が重要になると考えられる。
チャイナ・USアビエーション・バイオフューエル・パイロットプロジェクトは、すでに植物油と動物性油から作るジェット燃料に関しては実用化を果たしていて、これまで商業フライトにも使われてきた実績があるという。
しかし廃食用油はもともと捨ててしまうべきもの。それをエネルギーとして再利用できるなら、より環境負荷は減らせそうだ。中華料理は思わぬ資源を生み出すことになるかもしれない。