スマートフォンと連動して道案内をしてくれたり、振動で転倒を防止してくれたり、近年のスマートフォン連動化の流れを受けて様々な変化を見せている靴の中敷き(インソール)。
近頃では転倒を防止するだけではなく、姿勢を正すことが出来る靴の中敷きが開発されたという。
このインソールを開発したのはハーバード大学のウィス研究所のチーム。
片足ずつ独立したバッテリーを使用し、特殊な圧電アクチュエータにより足の底の重みが掛かった部分が計測される。そして一定の圧力が掛かった場合、振動でユーザーに伝えるという仕組みとなっている。
計測されたデータは、ユーザーのスマートフォンに送られ、アプリを通してバランスをパーセントで表示するので、体の傾きや電池の残量などが詳しく把握出来るという。
また、このインソールの最新の研究では、65歳以上の12人の健康なボランティアの方を招いたテストが行われた。インソールの振動で重心を修正していくプロセスを繰り返した結果、多くの人が歩行の安定感が改善された研究結果が出たという。
姿勢を正す中敷きの今後
このプロジェクトだが、製品化はもちろん、未だプロトタイプとしてテスト中なので今後様々な展開が予想される。例えば、姿勢だけではなく歩行時の体のバランスを計測し、歩行中の姿勢を正してくれるような機能や、運動に耐えうる耐久性を確保できれば、様々なスポーツでも採用されるということがあるかもしれない。
いずれにせよ、まだ未知数の部分が多いので今後の動向に注目したい。
このプロジェクトが持つ様々な可能性
もし、この画期的な中敷きが普及していく事になれば人々にどのような影響をもたらすのだろうか?
まず、姿勢を正したいというユーザーだけではなく、高齢者の方や糖尿病性神経障害の方、脳卒中の患者の方などの補助として役立てる可能性を充分に秘めている。
さらにこのインソールは、リハビリなどにも効果を発揮すると見られている。
リハビリの多くは、専門医が個人に合わせて考え抜いたメニューをマンツーマンでこなしていくため、施設によっては専門医に多く負担が懸かったり、リハビリをする人の待機時間が増える事も少なくない。
しかしこのインソールが、リハビリの際足にかけるべき負担や、掛かってはいけない負担のラインを振動で通知してくれれば効率が良くなるので、専門医の負担軽減や、患者の方の「予定より早く退院できた!」という喜びの声にも繋がっていくかもしれない。
今後このインソールが、様々な環境でテストを重ね”安全で画期的な発明”として話題になる事を祈るばかりだ。
*参考:Vibrating Shoes Restore Balance for Seniors – IEEE Spectrum