2014年も残すところ約1ヶ月半。
今年も各方面で様々な話題や事件があったが、宇宙にまつわる話題も数多く出てきた年だった。ここでは、ちょっと気が早いかもしれないが、2014年に大きな話題なったものや、今後も注目すべき出来事をおさらい。
独断と偏見も交えて、関連した10の動画を集めてみた。
1:若田宇宙飛行士、日本人初のISS船長となり無事帰還
上の動画に出ているのは、ご存じ若田光一宇宙飛行士(51歳)。
今年3月からISS(国際宇宙ステーション)のコマンダー(船長)に日本人で始めて就任、無事5月に地球へ帰還したことは記憶に新しい。赴任中は、ISS内でのミッションや生活振りを動画でいろいろと紹介。宇宙好きだけでなく各国で多くの人々が応援した。「日本が世界に誇る」宇宙飛行士の1人だ。
2:google副社長、成層圏からスカイダイブで世界記録
2014年は、後述する宇宙旅行をはじめ、宇宙がより一般の人々にも身近になってきた年だとも言える。
そんな中、10月24日に米グーグル社の上級副社長アラン・ユースタス氏が、成層圏からのスカイダイブに挑戦! ヘリウムガスで上昇する気球に乗って上空135,000フィート(41,148メートル)から無事地上へ降り立っている。
それまでの記録は、2012年に飲料メーカーのRED BULLがスポンサードし、オーストリア出身のフェリックス・ガートナー氏が樹立した128,000(39,014メートル)。ユースタス氏は、グーグル社からの資金調達を断り、自己資金で冒険を敢行。「risk taker」というニックネームが示す通り、かなり型破りな人物のようだ。
3:宇宙旅客機スペースシップ2がテスト中に墜落
大きな話題となったためご存じの方も多いだろうが、ヴァージン・ギャラクティック社が開発している宇宙旅客機が、10月31日テスト中に墜落。パイロット1人が死亡し、1人が重傷を負った。墜落したのは一般人向け宇宙旅行ツアー用宇宙船「スペースシップ2」で、事故現場はアメリカ・カリフォルニア州のモハヴェ砂漠。
同社の創始者リチャード・ブランソン氏は、記者会見で「失敗の原因を十分調査し、それを踏まえて“前進”する」とコメント。この事故により、2015年にも開始予定だったツアーは実施が遅れるかもしれない。が、「宇宙への憬れと挑戦」はまだまだ続きそうだ。犠牲者の方々のご冥福をお祈りします。
4:ワールド・ビュー社、気球の成層圏飛行テスト
これも一般人向けの宇宙旅行に関する話題。
以前本サイトでも紹介した通り、米ワールド・ビュー社は、6月18日にニューメキシコ州ロズウェルで、気球を使った成層圏近くでの飛行テストに成功。
旅客用の円筒形機体を気球で高度約36,000メートルまで上昇させ、パラフォイルという柔軟構造の翼で安全に下降させた。旅客用機体には、パイロット2人と乗客6人が搭乗可能。旅行費用は75,000ドル(約720万円)が予定されている(詳細:絶対に人生観が変わる2時間の「成層圏旅行」価格は720万円)。
5:NASA「空飛ぶ円盤」型の火星探査機を実験
これも、以前に本サイトでも紹介した話題。
動画は、NASAが6月28日に行った火星探査用ビークル(乗用機)「Low-Density Supersonic Decelerator (LDSD)」の初テスト風景を収めたものだ。火星探査という言葉自体もそうだが、テスト機の形状もまさにSF。人のイマジネーションが現実へと近づく好例だといえよう(詳細:NASAが初実験した「空飛ぶ円盤」夢の火星探査へ一歩近づく)。
6:3Dプリンターを宇宙へ!
9月21日に米フロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられたスペースX社(後述)製の無人宇宙船「ドラゴン」。
これには、なんと3Dプリンターも搭載されていたのだ。目的はISS(国際宇宙ステーション)など宇宙空間で、部品や特殊工具などの製造を可能にするための実験テスト。実用化が進めば、補給船を待たずに宇宙での必要な物資調達が可能になるという(詳細:3Dプリンターを宇宙へ飛ばしたNASAの思惑とは)。
7:スペースX社がドラゴンV2発表
5月29日、米ベンチャー企業のスペースX社は、宇宙飛行士をISS(国際宇宙ステーション)に運ぶための有人宇宙船「ドラゴンV2」の試作機を発表。乗船人員は7名。2017年の就航を目指している。
ちなみに、このスペースX社をはじめ、今アメリカではボーイング、シエラネバダ、ブルー・オリジンなどNASAから宇宙船などの開発を委託された民間企業が存在。政府機関から民間企業による開発に切り替わっているのが、米宇宙開発の最新動向のひとつだ(詳細:2017年就航目指す「ドラゴンV2」は何度も使える民間宇宙船)。
8:ISS補給用ロケット実験打ち上げ後に爆発
これもスペースX社に関する話題。
8月22日に、同社が開発中のISS補給用で再利用型ロケット「ファルコン9R」が打ち上げ後に爆発。このロケットは、使い捨てではなく再利用前提のため、実用化されればかなりのコスト削減が期待される。また、火星探査用への技術転用も検討されている注目機だ。
現場は、米テキサス州マクレガー郊外。無人機で現場が平原だったため、死傷者がいないのが不幸中の幸い。「宇宙開発は失敗の繰り返し」である一例と言えよう。
9:英政府が宇宙港建設に乗り出す
宇宙港とは、文字通り宇宙船やロケットを打ち上げるための空港。アメリカなどがリードしている富裕層向けの宇宙旅行など、「宇宙の産業化」に参入するためのインフラ整備が目的のようだ。2018年の開港を目指すという(詳細:夢がより身近に!相次ぐ「宇宙港」建設で民間宇宙ビジネス加速か)。
10:はやぶさ2が11月30日に打ち上げ
最後は、やはり日本の話題。
これもご存じの方も多いだろうが、2010年6月に小惑星イトカワから地球へ帰還した「はやぶさ」の後継機が、いよいよ11月30日に打ち上げ決定。今回の目的地は、C型小惑星「1999 JU3」。「はやぶさ」で培った技術にさらに磨きをかけて、新たなるミッションへ。活躍に期待したい。
以上、2014年の宇宙に関する動画(全てYouTube)をざっと紹介した。日本人の活躍や欧米での民間企業参入、宇宙旅行などが身近になってきたことも注目だ。2015年は、果たしてどんな話題が生まれてくるのだろう。今後も「宇宙」から目が離せない。