ここ最近、個人で遺伝子検査ができるサービスを提供する会社が増えている。
これらの遺伝子検査サービスは、専用のキットを購入し、唾液などを摂取したものを郵送するだけ。これにより、遺伝子レベルでいろいろなことがわかるというものだ。
分析からわかることは、性格や思考、趣向、体質、特徴といったものから、癌や生活習慣病といった病気の診断、また潜在的な病気などの健康リスクの分析も行える。
価格は9,800円〜と比較的リーズナブル。高くても5万円程度となっている。
確かに、人間は遺伝的提供が強く、遺伝子を分析することであらゆることが解明される。近年のビッグデータ収集技術の進化と、遺伝子分析の進化から考えれば、このような時代が来てもおかしくはない。
Facebookが、個人情報を収集しターゲットを絞った広告を表示させることで一定の成果を挙げたということもあり、大企業は次なるステージとして遺伝子レベルでの健康管理という未開の地を耕し始めているのだ。
一方、遺伝子分析はかなりセンシティブな側面を持つ。検査の結果、まだ解明されていない原因不明の病気が見つかるかもしれない。そうなると自分だけではなく、血縁関係にまで影響が出るだろう。
このようなセンシティブな側面を持つ遺伝子分析が、医療や研究機関だけではなく、一般の企業も扱っているというのが、少々驚きだ。いったい、収集されたデータはどうなるのだろうか。
「HealthData Lab」を提供するYahoo!ヘルスケアでは、解析実施事業者に提供するのは検体(唾液)と識別IDのみで、氏名や住所などの個人情報は渡さないと明文化している。基本的に、分析結果から個人が特定されることはなく、自分の分析結果が見られるのは自分だけ、というのはどのサービスも一緒のようだ。
もちろん、自分では自分の解析結果がわかるため、取り扱いには注意が必要。もし他人に知られてしまった場合に、不都合が起こるかもしれない。IDやパスワードの管理は今まで以上に神経を使う必要があるだろう。
遺伝子検査サービスの向かう先はどこ?
このようなサービスは、一体どこへ向かっているのだろうか。
一番考えられるのは、ヘルスケア分野との連携だ。遺伝子分析から得られる情報を元に、個人に食事や睡眠などの生活改善アドバイスをするというもの。スマートフォンのアプリなどを使えば、比較的簡単に行える。
もうひとつは、医療分野との連携。収集した遺伝子分析結果を研究機関に提供することで、難病の治療方法や発生傾向がわかったり、未知の病気を見つけるということができる可能性もある。
これまでは、病気になってから治療をするというのが当たり前だったが、最近では病気にならないために生活や食習慣を改善するという動きになってきている。
遺伝子検査サービスは、さらにその先を行くもの。自分では気がつかない身体のことや性格を知ることで、生活は元より人生すら変える必要が出てくるかもしれない。
正直なところ、自分の遺伝子検査をしてその結果を知るのが怖いと感じるかもしれない。血液型占いや星座占いとは違い、自分の遺伝子を検査した結果は、信じるしかない。
もし検査を考えているのなら、よく考えたほうがいい。知りたいという欲望だけではなく、知ってしまうリスクもある。気軽に検査をして後悔する可能性もあることを考慮しよう。