今後、アプリのターゲットをどの国や地域に設定するべきか。
iOS、Androidの普及で、地理の影響を受けず、世界中のひとが同じものを簡単に消費できるようになった。少なくともアプリのダウンロードや消費に関しては、全世界を横並びで比較できるのだ。これは画期的といえるかもしれない。
つい最近、App Annieというアプリ市場のデータを調査・分析する会社が2014年第3四半期のデータを発表した。そのApp Annieがブログにおいて今年のデータと1年前である2013年の第3四半期とを比較しているのだが、それがおもしろい。今後のアプリ市場の成長が有望な国が見えてくるのだ。
そのブログでは、アプリ消費国として3つのグループをとりあげている。ひとつは「超大国」日本、韓国、アメリカだ。次は「BRIC」(原典表記通り)近年高度な成長を遂げているブラジル、ロシア、インド、中国だ。そして「注目市場」としてメキシコ、インドネシア、トルコ、ベトナムをまとめている。
ユーザーは無料アプリから課金アプリへ移行する?
それでは、それぞれのグループにおける、2013年と2014年の比較から読み取れることを挙げてみよう。
・注目市場国ではアプリ内課金の伸び率よりもダウンロード伸び率が高い
・BRICではダウンロードの伸び率も多いが、それ以上にアプリ課金額の伸び率が高い
・超大国のダウンロードの伸び率は頭打ちになっているがアプリ課金額の伸び率が高い
この数値の傾向が、その国のアプリ市場の成長をそのまま表しているとすれば、まず無料あるいは低額課金によるアプリを数多くダウンロードする段階があり、そこから、新規ダウンロード数は減っていくが優良アプリに対してはそれなりに対価を払っていくという段階へ移行していくといえる。
以上の傾向は個人においてもあてはまるかもしれない。じっさい私自身もあらためて考えてみるとそうだ。ということは、BRICのユーザーは今後課金アプリをより消費するようになり、注目市場国がそれに続くと思われる。ちなみに、iOS、Google Playともに、課金アプリのトップカテゴリーはゲームだ。
現在のところ、BRIC、注目市場国ともに、絶対的なアプリ課金額は超大国の半分以下だ。しかしごぞんじのとおり、BRICに含まれる中国は13億人の人口を持ち、注目市場4ヵ国を合わせた人口も超大国3ヵ国を合わせた人口を上まわる。次のマーケットはBRICそしてメキシコ、インドネシアらの注目市場国になってくると予想される。
インドネシアが飛躍的な伸びを記録
あわせて、App Annieが発表した2014年第3四半期のデータから、注目のポイントをいくつか紹介しよう。
・ダウンロード数ではiOS App StoreをGoogle Playが60%上まわった(2013年は25%上まわったにすぎなかった)
・いっぽうアプリ課金額ではiOS App StoreがGoogle Playを60%上まわっている
・iOS App Store、Google PlayともにFacebook Messengerを筆頭とするコミュニケーション/SNS系アプリがもっとも多くダウンロードされた
・Google Playのダウンロード数の伸びはブラジルとインドが高いが、それにつづくインドネシアが飛躍的な伸びを見せた
いまのところスマートフォン、タブレット用のアプリはiOS App Store、Google Playにほぼ集約されているので、非常にシンプルに各国の横比較が可能だ。その国の経済状況を表す身近でわかりやすい指標として、今後もっと注目されていくかもしれない。
*参考:Infographic: Unlocking Emerging Markets Is Key to App Store Success – App Annie Blog