細かい毛の列が吸着力のカギ
『Jet Propulsion Laboratory』が開発を進めているのは、“ヤモリ式つかみ器”という、文字通りヤモリの足にヒントを得た機構だ。飛行機を使ったテストのプログラムのひとつに選ばれ、研究者がC-9B輸送機での放物線飛行において微少重力下での実験を行った。
ヤモリの足は枝分かれした細かい毛の列を持っている。細いものになると、人間の髪の毛の数百分の一の細さだという。その細かい毛を使った器官が、大きな力を必要とせずに粗い表面に吸着することができる理由だとそうだ。
このヤモリのような細かい毛を使った機構を、つかみ器の吸着パッドに使用。合成毛はクサビ型をしていて、傾いたキノコ型の帽子を持ったような形状になっている。吸着パッドが物体に接触したときには、その毛の先端のみが対象物の表面に触れることになる。
つかみ器の吸着性は、毛をどちらの方向に引っ張るかで、つかんだり離したりを容易に切り替えられるという。
毛が傾く方向に力を加えればより強力にくっつくようになり、力をゆるめて毛が起きるようにすれば吸着性は弱まる。ファンデルワールス力と呼ばれるこの現象は、過酷な温度や圧力、あるいは放射線のもとでも使えるというメリットがある。
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