ポルトガルを代表する古都であり、地区全体が世界遺産にも登録されているポルトでは、昨年秋から600台のタクシーやバスなどでWi-Fiサービスが開始された。
公共機関でのWi-Fiサービスは、大都市では既に実施されているところも多いが、この取り組みはただWi-Fiが使えるようになり、「ネットが捗るようになった!」といったものではない。
Wi-Fiを使った大規模なデータ収集
Veniamというベンチャー企業が運用するWi-Fiサービスを利用し、街を移動する車両をネットワーク上でつなぎ合わせ、セルラー回線がなくとも広い範囲からデータを収集し、都市計画に活かそうといったものだ。
例えば、走行中に道路の凹みでバンプした場合、サスペンションセンサーが感知、そのデータが市役所に自動的に伝えられる。また、このサービスが設置された街のゴミ箱においては、いっぱいになった際は自動的に感知し、最適なタイミングで回収に来てくれるといった具合だ。
日本でも東京メトロなどでWi-Fiサービスが開始
日本では昨年12月1日より、都営地下鉄と東京メトロでWi-Fiサービスが開始された。これは2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えたものだ。
正直日本にいては、W-Fiサービスにそこまでありがたみを感じない気もする。スマートフォンがあれば、その回線を利用して大抵のことができてしまうし、PCを使いたいとなれば、テザリングなどを駆使すれば意外と何とかなるからだ。
しかし、一番困るのは日本に訪れた外国人旅行者ではないだろうか? 通常、旅行者は現地でSIMカードを購入し、電話やインターネットを利用する。
だが、日本でSIMカードを購入するには、面倒な手続きが必要であったり、そもそも日本で売られているSIMカードが海外製の携帯端末に使用できないケースもある。
さらには、海外でアクティベーションしたものは、SIM利用にあたり一度初期化する必要があったりと、旅行者にとって日本での“電波獲得”は悩みのタネだった。
そういった点で、この日本でのWi-Fiサービスの取り組みはとても有益だ。しかし、このポルトで行われている取り組みは、Wi-Fiの利用だけでなく、さらにそこから都市計画にまで発展している点で別物な気がする。
2020年の東京オリンピックに向けさらに充実していくと思われるWi-Fiサービスだが、Wi-Fiをユーザーのネット環境のためだけでなく、どう社会に役立てていくかも課題ではないだろうか。
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【参考】
※ Veniam
※ Hundreds of Buses and Taxis in Portugal Form a Mesh Wi-Fi Network – MIT Technology Review