動画投稿サイトのYouTubeがさらに面白いことになりそうだ。
米ネバダ州ラスベガス市で開催されている家電市『CES2015(2015 International CES)』で、360度全方位カメラの『360cam』を開発した仏GIROPTIC社が、次世代の360度ムービープラットフォームについてYouTubeとパートナーシップを結んだことを発表したのだ。
360度のムービーデータをWEB上にアップロード
『360cam』は360度全方位をフルHDムービーで撮影できるカメラだ。この『360cam』で撮影した360度のムービーデータを、今後YouTubeにアップロードできるようになるという。
YouTube側も、現在360度ムービーに対応すべく準備中であることをコメントしている。
さらにGIROPTIC社によれば、Googleもストリートビューに360度ムービーをアップロードできる準備をしているという。近く、専用ビューアーなしで360度ムービーを鑑賞できることになりそうだ。
クラウドファンディングで1億円以上調達した『360cam』
『360cam』は、Kickstarterに登場すると多くの支援者を得て、目標額の15万ドルを遙かに上回る140万ドル以上を集めた注目度の高い製品だ。
手のひらに乗る小さなサイズに、3つの光学レンズを搭載した洋梨のような、あるいは宇宙船のようなユニークな形状をしており、それによりほぼ全方位の撮影ができる。
『360cam』に搭載された3つの魚眼レンズで撮影された映像は、自動的に1つの映像としてリアルタイム処理される。
動画は2,048×1,024(30fps)でMPEG-4(H.264)フォーマットとして保存され、静止画であれば4,096×2048のJPEGフォーマットで保存できる。
撮影したデータにはGPSでジオタグが付けられるので、常に位置情報が記録されることになる。
映像ファイルはGIROPTIC社の専用プレイヤーでの再生だけでなく、『KRPano』や『Kolor Eyes』などの汎用プレイヤーでも再生できる。また、バーチャルリアリティー向けとして『Oculus Rift』にも対応している。
サラウンドオーディオ用にマイクロフォンも搭載されているので、もちろん音声も録音できる。また、専用アプリによりスマートフォンで操作することが可能だ。
動画の楽しみ方が一気に拡張される
この『360cam』で撮影した360度ムービーが、YouTubeでも鑑賞できるとなれば画期的だ。要するに、専用プレイヤーが不要になるからだ。
GIROPTIC社は、YouTube用の360度ムービープラットフォームを『YouTube 360』と呼んでおり、これがYouTubeでインタラクティブに再生できる360度ビデオフォーマットとなるらしい。
YouTubeにアップされた360度ムービーは、パソコンやタブレット、スマートフォン上で、360度の映像をぐりぐり回しながら見る事ができるようになる。自分を中心に映像を見回すことができるので、より臨場感が得られるようになるはずだ。
まだYouTube側の対応開始時期がわからないが、『360cam』の一般発売時期に合わせるという話も出ていたようなので、既に出荷予定の1月に入っていることから、近日中かもしれない。ちなみに、他社の360度カメラについての対応予定はわかっていない。
しかし、動画を共有できるYouTubeに360度ムービーが投稿できるようになると、これは動画投稿サイトにとっても、動画を閲覧する側にとっても、画期的なことであろう。動画の楽しみ方が、一気に広がりそうだ。
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【画像・参考】
※ The World’s First Full HD 360° camera – Kickstarter
※ 360cam