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染色体のテロメアを伸ばす手法で「若返り」が本当にできてしまいそうだ

通常の培養細胞に比べて、皮膚細胞は28倍も細胞分裂

研究チームがテロメアを伸ばすために使ったのは、修飾をほどこした伝令RNAだ。このRNAはDNAの遺伝子から細胞のなかの“タンパク質工場”に“指令情報”を運ぶものだが、実験に使われたのはテロメア逆転酵素(テロメラーゼという酵素の成分)のためのコーディング領域を持たされたRNAだ。

このテロメラーゼは精子や卵子となる幹細胞において発現するもので、細胞分裂してできた次の世代の細胞においてもテロメアを良好な状態に保ってくれる働きがある。このテロメラーゼは幹細胞以外の細胞においてはわずかしか発現しない。

この作用を起こす修飾RNAを、培養している人間の皮膚細胞と筋肉細胞に適用したところ、テロメアは約10%以上にもあたる1,000ヌクレオチド分伸び、通常の培養細胞に比べて、皮膚細胞は28倍、筋肉細胞は3倍以上も細胞分裂を起こしたという。

この新しい手法にはもうひとつ大きなメリットがある。効果が一時的なのだ。修飾されたRNAの効果は約48時間でなくなり、いちど伸びたテロメアは、その後はまた以前のように分裂するにしたがって短くなる性質をとりもどす。したがって、無制限に伸び続けることはない(無制限に伸び続けると癌のリスクが高まって危険なのだ)。

 

現在、研究者たちは、様々なほかの種類の細胞に関しても研究を続けている。この技術は、老化による病気や、衰弱を起こす遺伝性の病気の対策として期待される。筋ジストロフィーや糖尿病、心臓病へも応用できるかもしれない。

そして、究極的には人間の“若返り”を可能にしてしまうかもしれない。もしそれが可能になったとき、われわれはどうするのだろう? そしてどうするべきなのだろう? そろそろ考えるべき時期が来ているのではないだろうか。

 

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【参考・画像】

※ Telomere extension turns back aging clock in cultured human cells, study finds – Stanford School of Medicine