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子供の「眼の色や学力」を選べるだと?パーフェクトベビー論を問う

生殖医療技術と生命倫理の狭間で

人工授精、精子・卵子バンク、代理出産などにより、さまざまな事情で子どもを持てない人に可能性が広がったことは素晴らしいことである。だが、そこには生命倫理という言葉がちらつき、科学の濫用ではないかという批判も消えない。

2013年4月より、妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断が導入されたが、羊水検査を通して染色体異常が確定したケースの97%が中絶を選択したというデータがある。

この場合の被験者は95%が高齢妊娠だったこともあり、あくまで参考数値ではあるが、ダウン症、心疾患、発達の遅れが生じる可能性が高いと診断された場合、そのことを知った上で出産する覚悟を持てる人は少ない。仮に覚悟を決めたとしても、流産するリスクもある。

もちろん、新型出生前診断は諸条件を満たす妊婦のみが自らの意思によって行うものであり、異常があったら中絶するという気楽な検査ではない。それに、当たり前のことだが、精度が高いとはいえ100&ではない。

あくまで、もし自分の子どもが障害を持って生まれてきたらどのように迎え入れ、育児をすればいいかを考え、準備をするための検査である。決して、命の選別につながってはいけないのだ。

以前、ご子息がダウン症である日本ダウン症協会の方とお話しする機会があったが、新型出生前診断については筆者と同様の見解で、「ダウン症かもしれないから中絶する」という流れができてしまうのだとしたら、それは非常に悲しいことだと話していた。

ダウン症というと心疾患などの合併症により長く生きられないイメージがあるが、実のところ健康な人の方が多く、能力も人それぞれ違う。親にとっては自分の子供であり、“ダウン症の”とひとくくりにして語れるものではない。

 

本来、こんな話をわざわざ書くのは野暮なことだと思う。ただ、生殖医療技術と生命倫理の狭間にある領域が、どういう広がり方をするかによって話は大きく変わる。『ガタカ』のような未来になるのか、それとも、どんな命、生き方であろうと受け入れられる器をつくるのか。

いずれにしても、今後はより真摯に“パーフェクトベビー”問題に向き合う必要があるだろう。

 

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