産業技術総合研究所は、帯電性繊維をバネ状に形成した導電配線を開発したと発表。
さらに、導電性の短繊維を高い配向性を持たせてパターニングし、高い伸縮性をもった繊維型の電極も同時に発表した。
バネ状に加工し編みこんだら“布”のような電線ができた
のっけから難しい用語が並び混乱した方もいるかもしれないが、つまり布のような伸び縮みできる配線ができたということである。
今までも伸縮性のある配線は存在したが、伸び縮みさせた時の抵抗変化が大きく、それによりおよそ20〜30%程度しか伸長できなかった。また、フラットタイプのケーブルは“曲げ”に弱く、耐久性も低い。
このたび開発された高伸縮性導電配線は、3倍以上の伸長が可能で、20万回折り曲げても抵抗値は1.2倍ほどの変化と、比較的安定している。この配線を利用し、格子状(マトリクス状)に形成した容量型の圧力センサーも制作している。
伸び縮みする配線で布状に形成、圧力センサーを作ってしまった。非常にざっくりではあるが、こんなイメージである。
Tシャツもベルトも全てがIT機器に?
配線が伸び縮みして、センサー機能を持つというのは今までにないほど画期的なことかもしれない。
例えば、心拍計といったセンサーを身につけると、肌にヒヤッとした感覚があったり、電子機器を身につけているという違和感がなかなか抜けなかったりするが、こういった医療器具などに用いれば、もっと自然と身につけられるものが開発できるようになるのではないだろうか?
すでにお気付きかと思うが、昨今話題となっているウェアラブルデバイスのデザインも大きく変わるだろう。センサー内蔵のアクセサリータイプのものは、そのまま衣類の形にデザインし直しても良いだろうし、ディスプレイが必要な腕時計タイプのデバイスも、ベルト部分などまだまだ開発の余地は残っている(写真は圧力センサーを応用した靴底シート)。
また、耐久性という点にも注目したい。現在の製品はたとえ最新のものであっても、今までの製品の延長線上に作られたという印象がある。電化製品はあくまで電化製品なのだ。
しかし、より高い伸縮性や耐久性をもつようになると、思いもよらなかったものが“電子化”し、私たちの生活のなかにどんどん溶け込んでいくのではないだろうか。
しばらくは医療用や介護の現場などで利用されると思われるが、一般の製品に使われる日もそう遠くないのかもしれない。
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