製品に使う材料から、輸送面での自然への負荷軽減、使用済機器のリサイクルまで、企業活動の全面にわたり環境に配慮した取り組みを行っているアップル。特に力を入れている分野のひとつが“気候変動対策”で、会社としては全ての関連施設で使用するエネルギーを再生可能資源から供給することを目標に掲げているほか、最近では一般消費者が使うことができる再生可能エネルギーへも投資を行っている。
そんななかアップルは23日、17億ユーロ(約2,270億円)を投じ、すべての電力を再生可能エネルギーで賄うふたつの新たなデータセンターをヨーロッパに建設することを発表した。
アイルランド、デンマークに16万6,000平方メートルの巨大施設
アイルランドのゴールウェイ州、そしてデンマークのユトランド半島に建設されるふたつのデータセンターは、16万6,000平方メートルの広大な敷地面積を持ち、2017年から操業を開始することが予定されている。この施設はヨーロッパで使われるiTunes Store、App Store、iMessage、Siriといったオンラインサービスをさらに強化するものだという。
同社の環境イニシアティブ担当副社長のLisa Jackson氏は、このプロジェクトの意義について次のように語っている。
私たちはアイルランドとデンマークでグリーン産業の成長に拍車をかけ、ふたつの国の強みである風力資源を利用したエネルギーシステムを発展させることに興奮しています。環境責任への私たちのコミットメントは、地球にとって、私たちのビジネスにとって、そしてヨーロッパ経済にとっても良いものになります。
なお、両施設は現地のコミュニティにとっても付加的な価値を持つようデザインされるということだ。
不可能だと思われた目標到達も現実味
近年、アップルは環境問題、なかでも気候変動対策への取り組みに力を入れており、会社のすべてのオフィス、販売店、データセンターで用いる電気を太陽光、風力、水力、地熱といった再生可能資源から供給することを究極の目標にしている。
目標実現に向けてアップルは、外部のエネルギー事業者と協力するほか、自前で持つエネルギー生産施設にも投資を行っている。すでに2013年には全施設の73%(83%のキャンパス、そして100%のデータセンター)がそうしたエネルギーで運営されており、新たな施設もこの流れに即したものだといえる。データセンターの全ての電力を変更することを決めた時は、誰もが「無理だ」と言ったということだ。
近年では、環境問題に関して自社施設以外の領域でも存在感を見せており、つい先日も、低コストのソーラーパネルを製造する米ファースト・ソーラー社が、カリフォルニア州に建設する太陽光発電所に25年で8億4,800万ドルを出資することを発表し、大きな話題となったばかりだ。
ところで、Appleの公式リリースはいつも同じ文章で締めくくられている。「アップルはマック―世界で最も良いPC―をデザインした」で始まるこの有名な文章には、その後もiPod、iPhone……と、彼らが開発した製品が世界にどのようなインパクトを与えたかの紹介が綴られている。
近い将来、現在はiPadで止まっているこの文面の後ろに、「アップルは環境問題を変えた」といった記述が載る日もそう遠くないのかもしれない。
【関連記事】
※ iPhoneからビームが出せる…!? スマホ搭載型レーザーポインター「iPin」
※ iPhoneを「倍速チャージ」できる充電器は裏技でもなんでもなかった?
※ 相性イイかも!「Apple Watch」で一皮剥けそうなアプリ5選
※ iPhoneで天体観測をしよう!「ライブビュー天体望遠鏡」
※ イギリスが「自動運転車」をリードする?春から公道での走行実験開始へ
【参考】
※ Apple to Invest €1.7 Billion in New European Data Centres – Apple