世界で最も空気が汚染されている都市といわれるインドのニューデリーには、人の4倍もの量の植物に囲まれたオフィスがあるそうだ。このインキュベーションオフィスビル『Parharpur Business Centre(PBC)』では、屋外がスモッグでもこれらの植物が屋内の空気をきれいにするという。
PBCのCEOであり、植物による空気清浄システムのデザイナーのKamal Meattleは次のように考えている。
空気の汚染は屋外だけの問題だと考えるのは誤りだ。多くの場合、屋内の空気は屋外の10倍は汚染されている
植物による汚染除去フィルター機能
PBCでは屋上に洗浄機を設置し、屋外の空気から窒素酸化物等を取り除いている。そして建物に取り込まれた空気はグリーンハウスに送られ、そこにはアレカヤシ等の多くの植物が水耕栽培されている。
Meattle氏によると、この水耕栽培システムが汚染除去フィルター機能を高めているとのこと。グリーンハウスで植物が“フレッシュな酸素”を効率的に作り出し、オフィスフロアへと届けられる。PBCではさらに各フロアでも何百という植物が育てられている。
空気清浄と省エネ効果
Meattle氏がこのシステムを開発したきっかけは、自身がデリーの空気汚染によって健康を害したためだ。医者からはデリーから離れるようアドバイスされたという。そして問題から逃げるのか、問題に向き合って解決策を探すのか選択を迫られ、Meattle氏は後者を選んだ。
科学者のなかには、植物だけによる屋内の空気清浄効果について異論の声もあるようだ。しかし、このシステムは機能しているようだ。インド政府機関の調査によると、PBCで勤務する職員は頭痛や眼の痛みなどの体調不良が減り、生産性が20%向上したという。
この空気清浄システムのメリットは、その省エネ性にもある。一般的な空調システムと比べて、当然だが消費エネルギーは少なく、空気の温度調整もあまり必要なくなるそうだ。
PBCのシステムは他の建物にも広がりつつある。オフィスだけでなく、病院や学校、ショッピングモール、一般家庭などでも空調システムの入れ替えが見られるという。
空気も味わう時代に
Meattle氏はこのシステムを海外にも販売予定だ。たとえ空気の汚染が少ない地域であっても質にはこだわるべきだと考え、次のように話している。
みなさんは水の質には気を使いますよね。我々が1日に飲む水の量は2〜4リットルです。一方で空気の量はというと、1日に11,000リットルも吸い込んでいるのです。空気の質に気を使っているでしょうか?
日本ではオフィスビルや商業施設ビルの壁面や屋上の緑化が進んでいるようだ。もし空気の質にこだわる人が増えるなら、屋内の緑化も広まるのかもしれない。
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【参考・画像】
※ At This New Delhi Office, A Greenhouse Cleans The Smoggy Outdoor Air – Fast Company