IT/テック

ピーナッツ型緩衝材が電池になる?これがリサイクルの最先端

簡単な工程で加工できる

その方法はシンプルだ。ピーナッツを不活性ガス炉のなか500〜900度で過熱するというものだ。その際に遷移金属塩の触媒を使うこともある。その結果できる素材を陽極に使うことができるというのだ。研究チームのEtacheri氏によればこの方法は環境にやさしく、大規模生産にも向いているという。

従来の陽極に比べて、この新しい陽極は約10分の1の厚みで、より多孔性だ。そのおかげで電解液との接触性にすぐれ、充電も放電もより短い時間で可能だという。

pol-peanuts

グラファイトでできた従来の陽極の比容量は、理論値で372 mAh/gであるのに対して、パッキング・ピーナッツを原料にしたカーボン製の陽極では、最大で420 mAh/gの比容量を示したという。

長期的な電気化学特性に関しても、このカーボン製電極は非常に安定しています。私どもは300回の充放電を繰り返しましたが、明確な容量低下は見られませんでした。このカーボンを含んだ電極はナトリウムイオン2次電池にも利用できます。今後は、表面積と穴のサイズを増やすことで、電気化学特性を改善し、性能を向上させる研究を続けることになります。

とEtacheri氏は説明する。

たしかにあのピーナッツ型緩衝材はわが家でも特に再利用することもなく捨ててしまっている。捨てるにしても非常にかさばるので手に負えず困る。それが工業製品の原料として有望であればもちろん歓迎すべきことだ。

しかし一方で、この手のリサイクル技術の活用に関しては、回収システムの確立がひとつの大きな問題だろう。そちらのソリューションの登場にも期待したい。

 

【関連記事】

※ 年間100億本消費される乾電池を「USB充電式」に変えよう

※ タッチIDよりずっと便利!「見るだけで解除」のスマホが年内に製品化

※ アップルが電力事業に進出?「太陽光発電」に8.5億ドルの投資を表明

※ ついに塩水で充電可能に!? カードサイズのモバイル用燃料電池「JAQ」

※ アジア3か国だけで約半分!? 世界のゴミ海洋投棄量が深刻化

【参考・画像】

New processing technology converts packing peanuts to battery components – PURDUE UNIVERSITY