新型コロナウイルスの軽症者に向けた経口薬(飲み薬)が、年内にも日本国内で特例承認される見通しとの報道がありました。
現在、軽症患者などを対象とした新型コロナの治療薬は注射剤のみで、治療法の選択肢が限られています。そんな中、今後新たに経口薬での治療が可能になることで、感染対策に一役買ってくれるのではないかと期待する声が多数あがっています。
コロナ飲み薬、年内にも承認へ
10月3日の毎日新聞の報道(※1)によると、政府は新型コロナウイルスの軽症者向け治療薬として、米製薬大手メルク社の経口薬(飲み薬)を日本国内で年内にも特例承認するとのこと。調達に向けて、メルク社などと調整に入ったことを報じました。
政府が年内調達を目指しているのは、メルク社が開発する抗ウイルス薬「モルヌピラビル」。自宅でも簡単に服用することが可能になり、ワクチン接種とともに感染対策の切り札になることが期待されています。
コロナ飲み薬に期待の声
この報道に対し、軽症者向けの飲み薬が承認されることで治療法が大きく変わるのではないかと期待を膨らませるコメントが多数見られます。
「軽症者に5日間、1日2回内服してもらう経口薬。これが承認されると新型コロナの治療が大きく変わると思われます」との投稿が。軽症者に家で服用してもらうことができるため、医療機関の負担が今より軽くなることが期待できるかもしれません。
「また塩野義の先日第2/3相試験の開始が発表された経口薬も年内で治験終了し、来年1~3月の実用化を目指すと 諸試験で有効性が確認された新型コロナの飲み薬もいよいよ現場に出てくる流れが加速」とのコメントも。塩野義製薬株式会社(※2)が現在開発中の抗ウイルス薬の国内第2/3相臨床試験を開始したことにも触れ、今後その有効性が確認されれば日本国内での経口治療薬の普及が加速すると予想しています。
一方で“見える…見えるぞ…新コロ抗ウイルス薬を服用して症状が軽快して「治った!」と勘違いして出歩いてウイルスばらまく輩が…服用指導はホント徹底して下さいね…”と、中途半端な服用をする人がいた場合にかえって感染拡大につながってしまうのではないかと懸念する声もみられました。
政府は国内産の治療薬の開発を後押し
政府は今年9月から経口治療薬の実用化に向けて、治験者の募集を開始していました(※3)。このことから承認に向けての積極的な姿勢がうかがえます。具体的な調達元や承認時期の正式な発表はまだありませんが、このスピード感なら警鐘が鳴らされている第六波の到来までに経口治療薬の導入が進んでいる可能性もあるでしょう。
また10月10日のNHKニュース(※4)によると、岸田総理大臣が、治験が行われている経口治療薬の早期開発に期待するとともに、政府として後押ししていく考えを示したとのこと。今後国内で開発された経口治療薬が登場することへも期待が高まります。
経口治療薬が承認され、実用化されることによって、軽症の場合は自宅でも簡単に治療ができるようになるかもしれません。しかし、だからといって油断するのは禁物。あくまでも、“感染しない”ことが一番肝心なことなのではないでしょうか。経口治療薬が承認される可能性があるからといって、楽観視するのではなく、第六波に備えて今まで通り感染対策を徹底すべきでしょう。
【参考・画像】
※1 米メルクのコロナ飲み薬、年内に日本調達へ 軽症者向け特例承認/毎日新聞
※2 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬S-217622の国内第2/3相試験の開始について」/塩野義製薬株式会社
※3 「軽症患者等を対象とした新型コロナウイルス感染症治療薬の治験について」/厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)
※4 新型コロナ飲み薬開発 岸田首相 “政府として後押し”/NHKニュース
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